リーダーシップ

2026.02.20 18:00

五輪選手たちに学ぶ「価値観に基づくリーダーシップ」 イリア・マリニンからリンゼイ・ボンまで

ミラノ・コルティナ冬季五輪フリースタイルスキー女子スロープスタイル予選の選手たち。2026年2月7日、リビーニョ・スノーパークにて撮影した写真を合成(Hector Vivas/Getty Images)

感情が高ぶるときこそバランスの取れた視点を──アイスダンス・チョック/ベイツ組

命運をかけた大勝負ほど、感情に流されやすくなる。気持ちが激しく揺さぶられる状況に直面したときこそ、価値観を重視するリーダーにはバランスの取れた視点が求められる。そのためには、さまざまな意見に耳を傾け、多岐にわたる決断を網羅的に比較検討し、予想される結果を評価することが不可欠だ。

advertisement

フィギュア・アイスダンス米国代表のマディソン・チョックとエヴァン・ベイツの振る舞いは、その鑑といえる。世界選手権3連覇中のチョック/ベイツ組は、ミラノ冬季五輪でも金メダルの有力候補だったが、銀メダルに甘んじる結果となった。

SEE
ALSO

エンタメ・スポーツ > スポーツ

五輪フィギュア・アイスダンスの採点に不正疑惑、「ナショナルバイアス」か 調査求める署名運動も開始

advertisement

採点をめぐって異論やナショナルバイアス(自国選手贔屓)への疑念が渦巻く中、米フィギュアスケート連盟(USFS)は異議を申し立てないことを選択。USFSのマット・ファレル最高経営責任者(CEO)は「五輪終了後、マディとエヴァンと協力して、2人をサポートする最善の方法と競技の未来について思慮深く志向的な議論を行う」と表明した。

圧しかかるプレッシャーの中でも、チョックとベイツは品格を失うことなく、バランスの取れた視点を大切にするという点で金メダル級のパフォーマンスを見せた。それは2人をスポーツ界において価値観を重視するリーダーとしての高みへと押し上げた。

勝っても負けても揺るがない、真の自信──アルペンスキー・ボン

アルペンスキー米国代表のリンゼイ・ボンは3つの五輪メダルを持つスターだが、今大会直前に左膝の前十字靭帯を断裂する重傷を負い、その状態でミラノ五輪に強行出場した。膝サポーターを着用すれば出場できると「自信を持っていた」という。だが、想像を絶する事態が起きた。8日に行われた女子滑降のスタート直後に転倒し、脚を複雑骨折したのだ。3度の手術を受けた後、ボンは少なくともあと2回の手術が必要だと明かした。

ミラノ・コルティナ冬季五輪アルペンスキー女子滑降の公式練習でコースを滑る米国のリンゼイ・ボン。2026年2月7日、コルティナダンペッツォにて(Daniel Kopatsch/VOIGT/GettyImages)
ミラノ・コルティナ冬季五輪アルペンスキー女子滑降の公式練習でコースを滑る米国のリンゼイ・ボン。2026年2月7日、コルティナダンペッツォにて(Daniel Kopatsch/VOIGT/GettyImages)

14日、インスタグラムへの投稿でボンは「後悔はない」「転倒する価値のある挑戦だった」とつづり、ファンに悲しまないでほしいと呼びかけた。

アルペン女子で世界屈指の成功を収めてきたボンは、真の自信の精神を体現している。自らの成果を誇りに思いつつ、失敗をも認める姿勢だ。「私はいつだって、転倒するリスクを負ってでも全力を尽くす。そのほうが、実力を出し切らずに後悔するよりずっとましだ」とボンは述べている。

ボンの振る舞いは、計算されたリスクを取り、起こった失敗を受け入れ、その結果から学ぶことの重要性を示している。急速に変化する今日の複雑な世界において、価値観を重視するリーダーが手本とすべき、示唆に富む教訓である。

次ページ > スピードスケートの「怪物」に学ぶ

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事