年初の新聞の見出しは、ベネズエラの政治的混乱が占めていた。1月上旬の劇的な出来事を受け、米国がベネズエラの油田に再び関与することの倫理性について活発な議論が交わされている。
しかし、世界が政治に目を向ける一方で、真の物語はベネズエラから数千キロ離れた米南部メキシコ湾岸地域の蒸留塔の中で展開している。米石油大手シェブロンがベネズエラ事業の拡大に積極的に動いている理由を理解するには、外交的な側面だけでなく製油所の技術的な側面に目を向ける必要がある。
自国の製油所に適さない米国産原油
米国は現在、世界最大の石油生産国だ。これは、米国がエネルギー自立を達成しているように聞こえるが、現実はそれほど単純ではない。
米南部パーミアン盆地のような頁岩(けつがん)層から生産される原油の大半は、軽質で低硫黄だ。このため、精製が比較的容易だ。
だが、米国の多くの製油所は軽質原油用に設計されていなかった。1980~90年代にかけて、米国の製油所は「複雑性」を高めるために数十億ドルを投じ、ベネズエラやメキシコなどで産出される重質で高硫黄の原油を処理するために特別に改良された。これらの製油所は処理の難しい安価な原油を購入し、高付加価値のガソリンやディーゼル燃料、ジェット燃料、石油化学原料へと転換するために設計された。
こうした設備に軽質原油を供給することも可能だが、経済的に非効率だ。それは、スクラップ金属を処理するために設計された装置を購入しながら、実際には高級素材だけをその装置に通すようなものだ。装置は機能するが、採算は取れないかもしれない。
シェブロンの米南部パスカグーラ施設のような複雑な製油所にとって、重質原油は単に有用なだけではなく、最適なのだ。
世界中で供給が逼迫する重質原油
米国のメキシコ湾岸地域は長年、重質原油を輸入に依存してきた。だが、供給は劇的に逼迫(ひっぱく)している。メキシコでは、国内の原油生産量が減少した一方で精製能力が拡大したため、輸出は縮小した。ロシアへの制裁により、同国産の中重質油は米市場からほぼ姿を消した。カナダ産の重質原油は依然として重要だが、輸送上の制約から完全な代替品とはならない。
その結果、構造的なずれが生じている。米国の製油所は利益率を最大化するために重質原油を必要としているが、世界全体の供給量は減少しているのだ。



