キャリア

2026.02.21 14:00

やりがい搾取、肩書き依存──「夢の仕事」で陥りがちな罠と後悔しないための方法

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キャリアについて助言を求めた時、「自分の情熱に従って行動しなさい」と言われたことがある人は多いはずだ──まるで、キャリアへの一歩を踏み出す前から、「情熱を追い求めること」が、理想的な目標であるかのように。

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つまり、仕事だとは思えないくらい好きな仕事を見つければいい。そうしたら、キャリアというゲームの勝者になれるのだ、という考え方だ。

これは、魅力的な考え方ではある。しかし、多くのプロフェッショナルが、情熱を追い求めた末に、燃え尽きたり挫折したりしていることを見ると、その助言には有害となりかねない問題点があることは明らかだ。

たった一つの天職とも言うべき「夢の仕事」をひたすら追い求めることだけが、充実感を得られる道とは限らない。時には、その行為が罠となる場合もある。

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たった一つの申し分ない肩書を目指して努力の全てを捧げてしまう前に、表には見えにくいが考慮すべき3つの罠について、以下で説明しよう。そして、輝かしいキャリアを築く上で、より適応力に優れた方法についても説明していこう。

「情熱タックス」の罠:好きな仕事なら給料が少なくても仕方ない

ファッションやメディア、ゲームや非営利団体(NPO)といった「クールな」業界は得てして、驚くほど給料が安く、長時間労働が常態化していることにお気づきだろうか。これは偶然ではない。経済的な原理であり、「情熱タックス(Passion Tax:別名やりがい搾取)」として知られる経済原理だ。

ある職業が、多くの人から極めて好ましく価値があるとみなされると、なんとしてもその仕事に就きたいと願う志望者が大勢集まってくる。そして関連業界の企業は、志望者が列をなすことをわかっているため、給料や福利厚生で競争する必要はない。するとその仕事に就いた人は、クリエイティブだとか意義深いとみなされる仕事に携わるという名誉のために、より安い給料と、ワークライフバランスの欠如という形で、知らず知らずのうちに「タックス(税)」を払うことになる。

夢を追い求めることで、真の経済的な安定を手に入れる力を犠牲にしてしまう可能性があるのだ。

アイデンティティの罠:情熱は進化しても、肩書が変わらない

大学を卒業したばかりで、1つのことに情熱を燃やす22歳のあなたと、32歳になった時のあなたは別人だ。成長しているし、興味関心や優先事項は変わっていく。

しかし夢に描く理想の仕事は、社会人としてのアイデンティティすべてを、たった一つの固定化された肩書へと縛り付けてしまう危険性をはらんでいる。

自分の情熱は動く標的であり、肩書は固定した箱だと考えよう。「アートディレクター」とか「ビデオゲームデザイナー」と名乗ることで、自分のアイデンティティに含まれる別の部分を締め出してしまう恐れがある。

デザインに対する情熱が色あせてしまったのに、自分の人脈と履歴書は、デザインというたった一つのスキルを中心に築き上げられている。そんな時に、どういうことが起こるだろうか。かつては夢に見ていた職業が「檻」のように思え始めたら、新しい関心事やチャンスを探る足かせとなっている可能性がある。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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