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ハードウェア及び半導体メーカーについて執筆

Courtesy of Nest.com



“学習するサーモスタット”のメーカーとして知られ、グーグルの新組織体制、Alphabetの一部門であるNestは、スマートホームのハブとしての地位を確実なものにするために、大きな一歩を踏み出した。

パロアルトを拠点とするNestは、2014年にスタートした開発者向けプログラム、「Works with Nest」を拡大する。このプログラムに参加することによって、スマートホーム機器のメーカーは、Nestの製品と自社製品を連携させることが可能になる。

Works with Nestには、これまでに11,000の開発者が参加しているが、Nest製品との接続は全てクラウドAPIを介して行われてきた。今回、Nestは更に一歩先を行き、クラウドを経由することなく他のデバイスが直接Nestの製品と接続することを可能にするソフトウェア、「Weave」を公開した。

Weaveは、Nestが自社開発した通信プロトコルだ。Threadに対応した無線チップの最上部に実装され、サーモスタットをはじめ、煙・一酸化炭素探知器の「Protect」、セキュリティカメラ「Nest Cam」など、Nestの全製品に搭載されている。

「Weaveは、我々がこの四年間で開発した技術の結晶だ」とNestの共同創業者でエンジニアリング担当副社長のMatt Rogersは話す。「全ての問題を解決することが不可能であることは我々も承知している。それなら、他にできることを実現しようと考えたんだ」

この新技術の採用をいち早く決めたのは、1868年創業の鍵メーカー、Yaleだ。Weaveを使用したパスコード式ドアロック「Linus」の製品名は、同社の創業者であるLinus Yale, Jr.の名に由来する。Weaveの活用以外にも、ドアロック操作をスマホで行うNestアプリの運営や、バックエンドデータの管理をNestが担う。

他にも興味深い連携がNestとの間で可能だ。例えば、Nest Protect製品が煙や一酸化炭素を感知すると、ユーザーが家に入らないよう、ドアロックがユーザーに音声で通知する。Linusの販売開始は、2016年の初めの予定だ。

Yaleの他にも、Nestのチップ搭載に多くの企業が関心を示している。それらの企業には、Big Ass Solutions、ダイキンノースアメリカ、GE lighting controls、 Hunter Douglas、iHome、Legrand、LIFX、Lutron Electronics、P&G、Philips Hue、Rachio、Somfy、SkyBell、Tyco、WeMoなどが含まれる。また、Nestは、半導体メーカーのDialog、Freescale、クアルコム、Silicon Labsと提携し、Weaveを実装したチップの製造を行い、これらのベンダーがWeaveの開発キットを提供する予定だ。

Nestは、Weaveの長所として、低電力、遅延が少ない、高い安全性と信頼性、他の選択肢よりも安価といった点を盛んにアピールしている。Weaveはメッシュネットワークを構築するため、Wi-Fiがダウンしても機器は正常に稼働し、通信を行うことができる。

しかし、Weaveを採用することには代償もある。Yaleの場合、Weaveと連携することで、機器の操作やデータ管理の大部分をNestがコントロールすることになる。例えば、ユーザーエクスペリエンスはNestアプリに依存し、顧客データはNestのサーバーに蓄積される。最も重要な点は、機器が他に無線チップを搭載していない場合、Nest製品を介さないとワイヤレス通信ができないことだ。こうした点が、スマートホームにおけるNestの中心的な役割を強固なものにしている。

「機器メーカーによっては、ハードウェアを作りたいだけで、アプリやクラウドバックエンドの構築を望まないこともある」とRogerは言う。

スタートアップによってはそこまで深く連携をしたくない場合もある。その点、Nestの開発者プログラムは柔軟だ。機器メーカーは、クラウドを介した簡素な連携か、Weaveを活用した完全統合のどちらかを選択できる。

Nestは、現在築きつつあるエコシステムを活気づけるために、「Nest Store」という独自のオンラインストアを開設し、スマートホームデバイスを販売する予定だ。オンラインストアでは、ユーザーはどのNest製品が他社の「Works with Nest」機器と連携し、どのような連携機能が使用できるか確認することができる。

これまでにNestは、リアルのスマートホームストア出店を検討してきた。「いつか実現したい」とRogersは言う。「我々は真剣に議論し、検討してきた。しかし、アップルでアップルストアを成功させたRon Johnsonのチームの取組みを考えると容易でないことがわかる。アップルの小売部門は、何千人という人が働く巨大なオペレーションだ」

Rogersともう一人の共同創業者であるTony Fadellは、共にアップル出身だ。Fadellは、iPodの開発において重要な役割を果たしたと言われている。

Nest Storeのオープンは、まだ数ヶ月先だが、パートナー企業向けに、ストアへの製品掲載の受付けを既に開始している。

スマートホーム市場でプラットフォームの勝者になる競争で、Nestの最大のライバルは、アップルの「HomeKit」だ。HomeKit は、スマートホーム機器をiOS 端末と連携させるプログラムだ。機器メーカーは、アップルのMFi(Made for iPhone/iPod/iPad)プログラムの認証を受け、アップルによる広範なユーザビリティテストをクリアしなければならない。また、製品に認証チップを組込み、Wi-FiとBluetoothのチップにHomeKitのファームウェアを使用することを要求される。アップルは、「Works with Nest」と同じ2014年6月にHomeKitを発足させたが、それ以来同プログラムについては多くを語っていない。

「Nestはスマートホームの分野を革新する」とWorks with NestのシニアマネジャーであるGreg Huは話す。「我々は、家におけるテクノロジーと、あるべきカスタマーエクスペリエンスにいつも全力で取り組んでいる」

「我々にとって、家は唯一の優先事項だ。一方で、アップルは最近大きな発表を行ったのに、HomeKitについては一切触れなかった」とRogersは言う。
「我々にとってスマートホームは趣味ではなく、最も主要なビジネスの目的だ。我々はこれだけに集中している。我々にとってものすごく重要なんだ」

文=アーロン・ティリー(Forbes)/編集=上田裕資

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