経済・社会

2026.02.20 12:00

モバイルインターネットにアクセスできない人は34億人、世界経済に460兆円以上の損失

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もちろん、モバイルネットワークが増えれば、GSMAの加盟事業者も利益を得る。特に、整備費用を他者が負担してくれる場合はなおさらだ。その資金源は政府であることも、通信事業者の借入れであることも多い。それでもGSMAは、大量のトラフィックを生み出す巨大プラットフォームに対し、より多くの費用負担を求めている。

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ここで浮上するのが、ネットワーク中立性(ネット・ニュートラリティ:通信事業者がすべてのトラフィックを平等に扱うべきという原則)の問題だ。

「この世界のどこに、配信が誰かのコスト構造に含まれないところがあるでしょうか?」とアバシは問いかける。

彼は、ネットフリックス(Netflix:動画配信大手)のある1つのエピソードが韓国のネットワーク容量の3分の1を消費した事例を挙げ、ユーチューブ(YouTube)がかつてカタールの国際トラフィックの70%を占めていたとも述べる。ネットワーク構築には多大なコストがかかるため、大量トラフィックを生み出す事業者は、直接的な費用負担、あるいはエッジストレージ(利用者に近い場所でデータを処理・保存する仕組み)やキャッシングハブ(コンテンツを地域内に一時保存して配信効率を高める拠点設備)といったローカルインフラへの投資を通じて、ネットワーク整備に相応の貢献をすべきだとGSMAは主張している。

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この議論は、世界的な5G展開が続き、さらに高速な6G(第6世代移動通信)ネットワークの話題まで聞かれ始めた現在、いっそう重要性を帯びている。

ただし、最終的には、大多数の人々にとっての恩恵のほとんどは4G(第4世代移動通信)でも享受できる。

「一般ユーザーの視点からいえば、よく設計された4Gネットワークは5Gと本質的に同等のサービスを提供できます」とアバシは言う。「5Gの真価が発揮されるのは、特定の産業分野(バーティカル)での活用が始まってからです」。

その代表例が、産業用IoT(モノのインターネット:あらゆる機器をネットワークに接続する技術)やM2M(Machine-to-Machine:機械同士が人の介在なく通信し合う仕組み)であり、これらは世界のインターネットトラフィックに占めるシェアを急速に拡大している。クラウドフレア(Cloudflare:インターネットインフラ大手)のデータによれば、機械が生み出すトラフィックは最近、人間が生成するトラフィックを上回った。接続の中心がスクリーンからセンサーへと移行していることを示す節目だ。

AIがさらにトラフィックを増やすだろうとアバシは付け加える。

そうした5G・6G・AIのトラフィックが、いまだモバイル接続を何ら持たない数十億の人々にどれだけ恩恵として届くのか、筆者には確信が持てない。ネットワーク中立性の原則を変えて大手コンテンツ事業者に費用を負わせることが、世界的なネットワーク拡張の資金調達として正しい方法なのかも疑問だ。富裕国の大手コンテンツ事業者に多くを負担させることが、貧困国でのネットワーク整備の財源にどうつながるのかも不透明である。

しかし、すべての人をつなぐためには、まだ取り組むべき困難な課題が数多く残っていることだけは確かだ。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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