サイエンス

2026.02.21 17:00

急増する高齢者のSNS利用、「依存と積極利用」の分かれ目そして認知機能への影響とは?

Shutterstock.com

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かつては、高齢者がインターネット社会に取り残される懸念が取りざたされていたものだった。だが、ソーシャルメディアを活用する高齢者がすっかり当たり前になるにつれ、デジタルデバイド(情報格差)の構図は変わってきた。今や、ソーシャルメディアにのめり込みすぎると高齢者にどんな影響があるのかが問題視されている。

高齢者は現在、世界で最もソーシャルメディア利用人口の増加が著しい年齢層のひとつだ。世界最大の高齢者団体である米AARP(旧全米退職者協会)のデータによると、米国では50歳以上の利用率が急上昇しており、実に9割がソーシャルメディアを活用。また、高齢者の半数近くがFacebookやYouTubeなどのプラットフォームに1日あたり1時間以上を費やしているという。

同様の傾向は他国でも見られる。ブラジル地理統計院 (IBGE)によれば、ネット利用が盛んなブラジルでは60歳以上のソーシャルメディア利用率が2019年の44.8%から2024年には69.4%へと急増した。

多くの高齢者は新型コロナウイルス感染症(COVID19)のパンデミック下での外出自粛期間中にネットライフに目覚め、その後も利用を継続している。ソーシャルメディア利用がウェルビーイング(心身の健康と幸福)や社会的支援(ソーシャルサポート)、コミュニティー意識の向上といったプラスの効果をもたらすことを示す研究は多い。

一方で、これまでの研究対象は若年層が中心だった。世界の主要経済国で急速に高齢化が進行する中、議論の焦点はソーシャルメディア利用のマイナス面、特に「使い過ぎ」へと移りつつある。

では、高齢者のソーシャルメディア利用において、どのような状態が通常の使用状態を逸脱しているとみなされ、それにはどういった影響があるのだろうか。

潜在的な問題

サイバー心理学の観点では、問題のあるソーシャルメディア利用とは、制御不能な過剰利用を伴う強迫的行動を特徴とする。高齢者のスマートフォン使用について調べたトルコの研究結果によると、これには何かを見逃してしまうのではないかという恐れや、通知が届いていないのに端末が振動したかのように錯覚する幻想振動症候群が付随する場合がある。

次ページ > プラットフォームが誘発する使い過ぎは高齢者の深刻な問題

翻訳・編集=荻原藤緒

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