なぜ「地球にやさしい」は企業の致命傷になり得るのか【脱やったつもりのサステナビリティ経営♯後編】

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単なる「理想論」にしないために不可欠なもの

そもそもサステナビリティとは、何を意味するのか。私たちはなぜそれを考えなければならないのか。今、立ち返る必要がある。

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1987年に国連の環境と開発に関する世界委員会(通称ブルントラント委員会)が発表した報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」において、初めて「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念が提唱され、「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発」と定義された。

つまりサステナビリティとは本来、地球環境を守るために私たちがコストや犠牲を払うことではないのだ。国連環境計画(※2)に記された、下の図を見てほしい。

Decoupling of resource use and environmental impacts from GDP growth
(経済活動と資源利用・環境負荷との切り離し)

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出典:UNEP「Decoupling Natural Resource Use and Environmental Impacts from Economic Growth」
出典:UNEP「Decoupling Natural Resource Use and Environmental Impacts from Economic Growth」

オレンジの線は経済活動の量、黄色の線はウェルビーイング、青色の線は経済活動に必要な資源の量、そして緑色の線は経済活動によって生み出される環境負荷の量を示している。

私たち人類が成し遂げたいことは、人々が求めるウェルビーイングの実現だ。そして、私たちのウェルビーイングは、経済活動を通じてかたちになる。しかし、現在の経済活動の大部分は資源の利用に依存しており、環境への負荷を伴う。地球上の資源は有限であり、地球環境が吸収できる負荷も有限である。そのため、いかに経済活動から資源への依存と環境負荷を切り離せるか(デカップリング)が問われている。この図は、その重要性を伝えているのだ。

サスティナビリティと経済は、密接な関係にある。私が英国の大学院で環境やサステナビリティを専攻していた時に驚いたのは、入学して最初に履修を義務付けられた科目が経済学だったことだ。

なぜサステナビリティ専攻でまずは経済を学ぶのか。理由は、サステナビリティの実現可能性にある。例えば、生物多様性の問題は、単に動植物や生態系を保全するということだけではない。どのようにそれらを資源として持続可能に利用できるか、経済学をベースに探り、私たちのウェルビーイングを向上させる方法に落とし込んでいく必要がある。経済合理性の中に解決策を見出さなければ、サステナビリティは単なる「理想論」で終わってしまう。

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