宇宙

2026.02.25 07:15

宇宙ステーションの飲料水に流し台のヌメヌメと同じ細菌が繁殖

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国際宇宙ステーション(ISS)では、排水や宇宙飛行士の尿や汗などの水分を無駄にせず、飲料水供給装置(PWD)で再生して飲料水にしているが、その再生水の中に細菌がいることがわかった。ただちに健康被害が出るものではないが、それが形成するバイオフィルムを放置すれば、機材に悪影響がでる恐れがある。

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摂南大学、大阪樟蔭女子大学、JAXAによる研究グループは、ISSの飲料水の微生物学的な安全性を確かめるべく分析を行ったところ、3年以上前からラルストニア属細菌が、細菌全体の約70パーセントを占めていることを明らかにした。再生水はその成分特性によって栄養塩に富む場合があり、微生物が繁殖しやすい環境になる恐れがあるという。

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飲料水は、衛生上問題がないように処理されているが、細菌を完全に除去できるわけではない。ラルストニア属細菌は、健康な人には害はないが、免疫が極端に低下すると感染症を引き起こすことがある。またこれは、トマトやジャガイモなどの野菜に被害をもたらす病原菌としても知られているため、宇宙で食糧を生産する場合には大きな問題となりそうだ。

しかもラルストニア属細菌は、細胞外高分子物質(EPS)の産生能力が高く、それはバイオフィルムの形成に大きな役割を果たす。バイオフィルムとは、細菌が防衛のために作り出す粘液状の物質で、掃除をしていない流し台のヌメヌメなどがその例だ。また歯垢もバイオフィルムの一種。それが、PWD内のラルストニア属細菌の除去を難しくしている。

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研究グループは、ISSで採取したEPSとラルストニア属細菌を実験室の微小重力環境で培養したところ、通常の重力下よりもそれらの濃度が高くなった。つまり、宇宙ではEPSもラルストニア属細菌も、活発に繁殖するということだ。

今後、より多くの人間が宇宙で活動するようになると、大量の飲料水が必要になる。研究グループは、水質そのものの管理に加え、微生物、EPS、バイオフィルムの形成にも対応した総合的な水マネジメントが求められると話す。この研究で得られた知見は、「宇宙居住環境における再生水の微生物学的安全性評価の高度化や、さらにバイオフィルム形成を考慮した水処理、装置設計、運用指針の構築に向けて重要な基盤情報」になるということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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