浮いた26分はどこへ消えたのか
タスクの処理時間は短くなったのに、なぜ労働時間は減らないのか。調査はその理由を示している。生成AIで削減できた時間のうち61.2%は仕事に再投下されているのだ。しかもその中身の75.4%を日常業務、43.0%を調整・連絡の業務が占めている。
浮いた時間を付加価値の高い改良・再設計の業務に充てた人は40.9%、探索の業務は36.3%と一定数いるものの、大半はまず目の前の仕事に吸い込まれているかたちだ。

さらに興味深いデータがある。生成AIの利用頻度が高い層ほど、残業時間が長いというのだ。ヘビーユーザーの週平均残業時間は8.34時間で、非利用群の4.99時間を大きく上回る。

業種・職種・職位を統制した分析でもこの関係は確認されており、単に忙しい業種で使われているだけという話ではない。生成AIは労働時間の削減ではなく、膨大な業務をさばくための手段になっているということだ。
効率化の先にある問い
生成AIは確かに作業を効率化する。だが、効率化で浮いた時間を何に使うのかが設計されていなければ、むしろ忙しくなるばかりだ。
調査を担当したパーソル総合研究所研究員の田村元樹氏は、3つの提言を示している。
第1に、削減された時間を日常業務の消化で終わらせず、改善や探索といった付加価値の高い業務へ流す仕掛けをあらかじめ設計すること。第2に、AI普及を「詳しい人」任せにせず、試行する役割と共有する役割をペアにして回すこと。第3に、相談やレビュー、ナレッジの更新が個人の努力ではなく組織の仕組みとして回るインフラを整えることだ。

導入の次に問われているのは、浮いた時間で何をするかという発想なのかもしれない。
【調査概要】
調査名称:パーソル総合研究所「生成AIとはたらき方に関する実態調査」
調査対象:スクリーニング調査=全国の就業者1万9855人、本調査=正規雇用者3000人
調査方法:インターネットによる定量調査
調査時期:2025年10月24日〜10月28日
出典:パーソル総合研究所
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