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2026.02.23 13:00

AIはツールから「インフラ」へ、今後10年の競争優位を決定づける「5つのトレンド」

Shutterstock

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2026年、AIは個々に独立したツールから、エージェント主導のスーパーアプリという社会基盤へと変貌し、リーダーシップ、ワークフロー、競争戦略を根本から再定義しつつある。この変革はグローバルな規模で進んでおり、地域特性への対応と現地化がますます重要な競争要因となっている。AIは物理インフラや生成メディアへの統合も進め、多極化した経済を生み出している。その中で成功の鍵となるのは、技術の採用そのものではなく、インテリジェントなインフラを統治し、現地ユーザーのニーズを深く理解する能力だ。

人工知能(AI)は実験段階を超え、「規模を伴う利便性」という1つの約束を中心に構築された統合エコシステムへと移行した。多くの企業では、この変革が経営陣の想定を上回るペースで進んでいる。

ゴールドマン・サックスによれば、世界のAI支出は年率30%超の成長に支えられ、5000億ドル(約76兆6450億円)を超える見通しだ。しかし、より深い変化は財務面ではなく構造面にある。AIはもはや独立したツールの寄せ集めではない。検索、商取引、生産性向上、メディア制作、個人向けアシスタントを1つの運用基盤に束ねた、エージェント主導のスーパーアプリ環境へと集約されつつある。

この移行は、リーダーシップそのものを静かに再定義している。AIが単なるタスク支援から、ワークフローと意思決定環境の調整役へと移るにつれ、組織は権限の配分、チーム構造、そして部分的に自律して動くシステム全体での説明責任の維持を根本から見直さざるを得なくなっている。

同時に、イノベーションの中心も地理的に分散しつつある。AI開発は多極化し、各地域の革新者が現地の言語・文化的行動・規制環境に合わせてプラットフォームを設計している。自律エージェントから生成メディア、エッジ・ロボティクス(機器の近傍でAI処理を行うロボット技術)に至るまで、AIはもはや「たどり着くべき目的の技術」ではなく、生活や業務に溶け込む「環境型インフラ」へと進化している。

これらの構造的変化が重なり、組織の運営方法、市場競争のあり方、デジタルの力の世界的な配分が作り替えられている。仕事、競争、知識生産、インフラ、経済的影響力にわたって、この変革の行方を規定し始めている構造的トレンドが5つある。

トレンド1:AIは「労働力の一員」になりつつある

エージェント型AI(自律的に計画し、多段階のタスクを実行できるAI)は、受け身のチャットボットから、最小限の監視のもとで複数ステップの作業を自律的にこなすシステムへと進化した。これらのエージェントは今や企業向けソフトウェア、消費者向けサービス、業務ワークフローに直接接続し、出張手配、サプライチェーン、顧客対応をほぼ人手を介さずに調整している。

企業での初期の勢いは、OpenAIのエージェント・オーケストレーション機能(複数のAIエージェントを統合管理する仕組み)、セールスフォースのAgentforce(エージェントフォース)、マイクロソフトやServiceNow(サービスナウ)のエコシステムにわたる自動化レイヤーなどから生まれた。SAPのJoule Agents(ジュール・エージェント)や新興スタートアップの事例は、自然言語のプロンプト(指示文)だけでアプリケーション全体を生成できる時代の到来を示しており、開発の参入障壁を下げ、デジタル変革を加速させている。

これらのシステムが常時接続型のデジタル・コンパニオン(個人に寄り添う補助役)へと統合されるにつれ、人間の役割も変わり始めている。従業員はタスクの実行者ではなく、問題の設定・検証・意思決定への統合を担う立場へとシフトしつつある。

消費者向けエコシステムも同様の速さで進化している。マイクロソフトはCopilotを生産性ツールとOS環境の両方に統合しており、アップルはデバイスとクラウドの連携レイヤー全体にAIを組み込み続けている。グーグルもGeminiを通じて同様の統合を推進し、会話型AIを検索・生産性・消費者向けサービスにまたがるクロスプラットフォームのインターフェースとして位置づけている。

AI導入を単なる生産性向上ではなく「労働力の再設計」として捉える企業は、長期的に一貫して高いパフォーマンスを達成している。AIが内部の業務構造を塗り替えると同時に、同じエージェント型の能力がデジタル市場全体の組織化をも再定義しつつある。

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翻訳=酒匂寛

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