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2026.02.25 08:30

世界2位のナベルが挑む売上高1000億円 卵生産の垂直統合モデル:南部隆彦×入山章栄

南部隆彦|ナベル

ゆりかごから墓場まで

入山:ナベルは、ひなを育てる「孵化場」、ニワトリが卵を産む「養鶏場」、卵を選別・包装する「GPセンター」という3つのサプライチェーンに設備やシステムを入れている。ひとつの産業の川上から川下まで、すべてに基盤となるような設備を入れている会社は、もしかしたら地球上でナベルだけなのでは。垂直統合に似たこの戦略を何と呼んでいますか。

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南部:厳密には進出したばかりの部分もありますが、「養鶏、ゆりかごから墓場まで」を合言葉に取り組んでいます。

入山:どこかの国の社会福祉政策みたいですね。どうして、それをやろうと思ったんですか。

南部:20年ほど前からGPセンターがどんどん自動化されていく過程で、とある光景を目にしたのがきっかけです。それはまだ、複数のメーカーの装置がひとつのGPセンターに入り交じっている時期で、納品して間もない生産ラインでトラブルが発生していました。何が起きていたかというと、我々が納品した卵のラベル入れ機と、他社が納品したラベル検査装置がうまくかみ合わないのです。そのせいで、GPセンター全体の稼働率が落ちてしまっていた。「これはあかん」と思いました。やっぱり、施設全体の稼働率に一社が責任をもってやらなければ、お客さんの生産性が上がっていかない。お客さんにとっての生産性という付加価値を最大化しようと思ったら、それこそ、ゆりかごから墓場まで責任をもつことで、とにかく無駄のない生産を実現できるのではないかと気づいたんです。

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入山:今のエピソードはGPセンターといういちばん川下の部分だと思うんですけど、その後もっと川上の養鶏場、孵化場にも進出していったということですか。

南部:はい。今、我々は孵化場を自動化するために孵卵器を開発しています。養鶏場に関しても、生産管理システムを構築して導入を進めています。産業全体に垂直に、基盤となるようなソリューションを提供していきたいと思っています。

入山:孵卵器ってまさにゆりかごですよね。そういう意味ではナベルって、とにかく自前主義で、何でも自社でつくってしまうんですよね。

(左)「スマート」をコンセプトに開発した産業用途向けインクジェットプリンター。各種操作は専用アプリ内で完結するため操作画面のない手のひらサイズを実現。卵の賞味期限などをラベルに印字・貼り付けする機械に使用。(右)エヌビディアのGPUを搭載したエッジAI用PC。「もっと手軽にAIを」をコンセプトにタバコサイズを実現。カメラを搭載した機種もあり、生産ラインに手軽にAI検査を導入できる。
(左)「スマート」をコンセプトに開発した産業用途向けインクジェットプリンター。各種操作は専用アプリ内で完結するため操作画面のない手のひらサイズを実現。卵の賞味期限などをラベルに印字・貼り付けする機械に使用。(右)エヌビディアのGPUを搭載したエッジAI用PC。「もっと手軽にAIを」をコンセプトにタバコサイズを実現。カメラを搭載した機種もあり、生産ラインに手軽にAI検査を導入できる。

南部:インクジェットプリンターや無人搬送車(AGV)も自社でつくりました。実は僕は、中学生のころからパソコン少年で、大阪の日本橋で部品を買ってきてパソコンを自作したり、プログラミングやソフトウェアをつくったりするのが好きだったんです。10年ほど前、社内の生産管理システムを刷新しようと思って、ITベンダーと打ち合わせをしたんですが、らちが明かなくて……。大きな決断でしたが、開発メンバーと相談して「もう自分らでつくろう」と。当時はシステムといったらオンプレミスがほとんどでしたが、僕は自社でサーバーをもちたくなかったので全部クラウドでつくりました。

入山:本当につくっちゃうのがすごい。

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文・構成=中居広起 写真=ヤン・ブース

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