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2026.02.25 08:30

世界2位のナベルが挑む売上高1000億円 卵生産の垂直統合モデル:南部隆彦×入山章栄

南部隆彦|ナベル

最強の卵大国

入山:売り上げも大事なんですが、我々審査員が重視しているのは「ちゃんともうかっているかどうか」なんですよね。特にスノーピークの山井(太)さんは厳しいですよ。「中小企業だからって、自分たちを卑下してちゃダメだ。もっと成長して、もっともうけろ」ということをしっかりと指摘してくれる。その点、ナベルがすごいのはちゃんともうかっているところですよね。審査員はある程度の数字は見ているのですが、言える範囲で利益率ってどのくらいなんですか。

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南部:ちょっと言いづらいんですが、いい利益率です。

入山:なぜ、こんなにいい利益率が出せるんですか。

南部:ひとつの要因は、開発の方針が「ほかにないものをつくろう」ということだからです。まねされにくい、価格競争に晒されないものづくりをしようと決めています。

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入山:国内ではほとんどのお客さんを押さえているということですが、世界でも2位って相当すごいと思うんですよ。このポイントはなんですか。やはり他社との差別化ですか。

南部:ひとつは差別化です。そして、日本のマーケットの品質要求が高いがゆえに、海外メーカーと比較して、我々の技術が高くなったという理由もあります。

入山:日本人は確かに生卵を食べますからね。僕も卵かけご飯が大好きなんです。ところが、米国に10年ほど住んでいたのでわかるんですけど、米国では生卵は食べられないんですよね。

南部:はい。米国の衛生基準では卵のひび割れをある程度許容しているので、生で食べるとひび割れから侵入した雑菌などによる食中毒のリスクがあります。ただ米国に限らず、どの国と比べても、間違いなく日本の卵の品質は群を抜いて高いです。しかも価格は安いので、世界一です。

ひびが入った卵は、細菌が内部に侵入・繁殖しやすく、生で食べると食中毒のリスクが高まる。1998年、ナベルが世界初の技術でひびの入った卵を判別する装置を発売。その後業界全体の努力もあり、現在では卵による食中毒はほぼゼロになっている。
ひびが入った卵は、細菌が内部に侵入・繁殖しやすく、生で食べると食中毒のリスクが高まる。1998年、ナベルが世界初の技術でひびの入った卵を判別する装置を発売。その後業界全体の努力もあり、現在では卵による食中毒はほぼゼロになっている。

入山:日本は世界最強の卵大国ですよね。

南部:それは本当に正しいです。昔は買ってきた卵がひび割れていたり、割ると血が混じっていたりすることもたまにありましたが、今はほとんどありません。卵による食中毒の発生件数もほぼゼロになっています。これは、我々が1998年にひびの入った卵を判別する装置を発売して以来、さまざまな検査装置を開発して市場に投入してきたことが、大きく貢献したと自負しています。昨年、スモール・ジャイアンツアワードのプレゼンで「日本の卵の品質は世界最高。そして消費者の皆さんのクレームも世界一」と言ったのは、笑いも取りたかったのですが本当のことで、ゴマ粒みたいな汚れでもクレームがきます。

入山:なるほど。日本は世界一消費者からのクレームが多いくらい卵にこだわる国なので、結果的にナベルの生産設備の品質も世界最強であると。だから、世界に出ていったら、あっという間にマーケットをとって、現在世界シェア2位だというわけですね。

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文・構成=中居広起 写真=ヤン・ブース

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