宇宙

2026.02.20 10:30

地球は生命誕生を後押しする化学物質の「宝くじに当たった」、最新研究が示唆

生まれたばかりの恒星を取り巻くガスと塵の円盤(原始惑星系円盤)を描いた想像図。この物質から新たな惑星が形成される可能性がある(NASA-JPL)

惑星形成時の酸素のフガシティー(濃度=存在量に相当)と化学的なゴルディロックスゾーン(生命進化に適した領域)の関係を示した図。黒斜線の領域は地球に比べて惑星のマントル中のリンPが少ない範囲で、白斜線は地球に比べて窒素Nが少ない範囲を表す。中央の地球(Earth-like)はちょうどバランスが取れたゴルディロックスゾーン内に位置している(Walton et al. 2026/Nature Astronomy)
惑星形成時の酸素のフガシティー(濃度=存在量に相当)と化学的なゴルディロックスゾーン(生命進化に適した領域)の関係を示した図。黒斜線の領域は地球に比べて惑星のマントル中のリンPが少ない範囲で、白斜線は地球に比べて窒素Nが少ない範囲を表す。中央の地球(Earth-like)はちょうどバランスが取れたゴルディロックスゾーン内に位置している(Walton et al. 2026/Nature Astronomy)

研究チームはコンピューターシミュレーションを用いて、地殻に含まれるリンと窒素が結果的に適切な量になるには、惑星にどのくらいの量の酸素が最初に存在する必要があるかを正確に算出した。46億年前の惑星形成時の組成に関して明らかになっていることに基づき、地球はまさに最適なバランスの取れた条件下にあることが判明した。

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ウォルトンは、プレスリリースで「もし地球の核の形成時に酸素量がほんの少しだけ多かったり少なかったりしていたら、生命の発生のために十分な量のリンや窒素は存在していなかっただろう」と指摘している。

この情報をどう活用するか?

実際の問題は、宇宙生物学者がこの情報を利用して生命生存可能な惑星の探査範囲を限定する方法と、それが可能かどうかだ。太陽系外恒星系での生命探査はこれまで、主星のハビタブルゾーン(生命生存可能領域)内にある岩石惑星を見つけること、そして、そのような惑星で大気を持つものを見つけることに重点が置かれてきた。後者に関しては、より困難を伴うことが明らかになっている。今回の研究により、検討すべきまったく新しい判断基準が得られたが、惑星が最初に形成された時点でどのくらいの量の酸素が存在していたかを、宇宙生物学者は実際にどのような方法で測定できるのだろうか。

最大の手がかりは、おそらく惑星系の主星の化学組成だろう。これは主星からの光のスペクトルに基づいて容易に測定できる。主星の周りの惑星系は通常、主星自体と基本的に同じ物質でできているはずだ。なぜなら系全体が濃密なガスと塵(固体微粒子)からなる同一の塊から形成されるからだ。だが、惑星の材料物質に含まれる元素の正確な混合比率は、生まれたばかりの星の周囲にできるガスと塵の円盤内のどこで惑星が形成されるかによって決まる。さらには、物理学者が「確率過程」と呼ぶ、運任せな部分も少しある。

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研究チームのモデルによると、例えば太陽系の場合、地球に最も近くにある惑星の1つである火星は、形成時に適切な量の酸素が存在していなかった。これは、火星はかつて非常に水が豊富で非常に活動的な惑星だった証拠があるにもかかわらず、生命を発生させるのが可能な状態になったことは1度もないはずであることを意味している(火星でのさらなる調査で生命の痕跡が見つかるかどうか、そして生命発見が公式に発表されれば、その生命は火星あるいは地球で発生したことが判明するかどうかを確かめるのは非常に興味深い)。

従って、主星から得られる情報は限られている。現時点では少なくとも、地球外生命を探求する研究者にとって今回の結果は、実用的な情報というよりは興味深い説の1つといったところだろう。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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