欧州

2026.02.18 09:00

EUの対ロシア制裁はウクライナ含む全世界に悪影響

ロシア化学肥料大手フォスアグロの貨物。2014年11月15日撮影(Getty Images)

ロシア化学肥料大手フォスアグロの貨物。2014年11月15日撮影(Getty Images)

ロシアにとって経済的に悪いことは米国にとっても悪いことであり、ひいてはウクライナの状況を悪化させると言える。覚えておくべき重要な点は、唯一の「閉鎖経済」は世界経済であるということだ。これが正しく理解されれば、関税や経済制裁、あるいは他国を傷つけることを目的としたあらゆる措置が、再び「閉鎖的」となった世界経済において必ずや全ての国々に害を及ぼすという基本的な真実を把握しやすくなる。

背景として、米国のドナルド・トランプ政権第1期に国連食糧農業機関(FAO)大使を務めたキップ・トムが最近執筆した報告書を参照すると有益だ。トム元大使は報告書で、欧州連合(EU)によるロシア産肥料への制裁措置について論じている。

一見すると、本稿を読んでいる多くの読者にとって理にかなっているように思えるかもしれない。ウクライナとの戦争でロシアが明らかな侵略者と見なされ、終結の見通しが立たない現状で、ロシアがウクライナで行ってきたこと、そして現在も続けていることへの対応として、ロシアに経済的苦痛を与える取り組みを受け入れるべきではないだろうか?

しかし、もう一度よく考えてみると疑問が生じる。まず、世界中の農家はロシア産肥料に依存している。これは忘れがちな事実を思い出させる。経済戦争とは、制裁に伴う高いコストに耐えられる人々や生産者が住む豊かな国々にとって、ある種のぜいたく品にほかならない。

言うまでもなく、豊かな国々に当てはまることが、貧しい国々に必ずしも当てはまるわけではない。トム元大使の報告書によれば、ロシアに対して制裁を科そうとするEUの取り組みにより、同国産の肥料価格が高騰し、アフリカの貧しい国々の農民が特に深刻な打撃を受けることになるだろう。

重要なのは、制裁が貧しい国の農家や消費者だけに悪影響を及ぼすわけではないという点だ。現在見られるように、インフレは豊かな国々でも政治問題となっている。世界の国々の大半は、米国の経済「問題」を喜んで受け入れるだろうが、実際、米国の有権者は不満を抱いており、その不満は市場商品の価格が2020年春以前の水準に戻っていないことに関係しているという議論が頻繁に行われている。

つまり、EUによるロシア産肥料を対象とした制裁は、その影響がロシアをはるかに超えて、地球上で最も豊かな国である米国を含む地域にまで及び得るということだ。特にウクライナの状況を念頭に置きながら、立ち止まって考えてみよう。

ウクライナが現在直面している最大の課題は、ロシアとの戦争を継続する上で必要な兵器を入手するための資金調達と兵器の確保に関わるものだ。軍事資源を入手できなければ、ウクライナが戦闘を継続することは単純に不可能だ。

これは、EUがウクライナの立場を強化する手段としてロシアに対する経済制裁を利用することの危険性を物語っている。ロシアの生産者を対象とした制裁は、その性質上、広大な国土の境界をはるかに超えて影響が及ぶだろう。米国民が既に物価高に不満を抱いている今、食料価格の上昇によって負担を増やすべきではない。

まさに米国の農家と消費者がロシアへの制裁の代償を支払うことになるからこそ、価格上昇により米国人のウクライナ支援意欲が低下する可能性を推測するのは不合理ではない。言い換えれば、結局は経済が全てだ。もし米経済がウクライナ支援に向けたEUの対ロシア制裁の影響を受けるならば、米国民がウクライナに対する寛容さを失い、同国の存続に関わる問題が浮上するだろうと推測するのは決して無理な話ではない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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