経営・戦略

2026.02.17 16:23

企業のAI導入、技術主導では失敗する理由

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ジム・ジョンソン氏は、AnswerRocketのAIソリューション&コンサルティング部門マネージングパートナーである。

AI(人工知能)に対する幻滅や、バブルが崩壊しつつあるのではないかという議論が盛んに行われている。広く報じられている課題にもかかわらず、企業はこれまで以上にこれらのツールの導入に意欲的だ。しかし、AI導入を進める多くの企業が、最初から重大な過ちを犯している。その取り組みがビジネス部門ではなく、技術部門主導で進められているのだ。

成功するAI施策は、洗練されたアルゴリズムや最先端のモデルによって定義されるものではない。明確なビジネス成果に根ざしているかどうかで決まる。しかし、ほとんどの企業は技術部門に全権を委ね、AIを過去のIT施策、つまりクラウド移行やERP導入、あるいは別のインフラプロジェクトと同じように扱っている。

だが、AIは単なるIT施策ではない。AIは、業務プロセス、役割、成果に実際の影響を及ぼす、業務遂行方法の根本的な変革を意味する。

IT主導の施策が失敗する理由

IT部門は実際のビジネス課題から遠く離れすぎており、それらをどう解決すべきか理解できない。そして、AIが特定のビジネス状況に応じたカスタマイズを必要とする一方で、IT部門は標準化を目的として設計されたプロセスに縛られている。

このパターンは繰り返し見られる。IT主導のAIプロジェクトは十分に踏み込めない。技術的な問題は解決するが、ビジネスニーズを完全に見逃してしまう。テキストからSQLへの変換ツールや「エンタープライズチャット」は典型的な例だ。IT部門はデータアクセスの要求を聞き、データベースクエリを自動化するAIを構築する。彼らはそれをイノベーションと呼ぶ。6カ月後、ビジネス部門は失望する。

なぜか。ビジネス部門が求めているのはデータではなく、インサイトだからだ。IT部門は技術的に求められたものを正確に構築したが、実際にビジネス価値を生み出すものを提供するには至らなかった。

この失敗は技術的能力の問題ではない。IT部門は、セキュリティ要件、コスト管理、安定性を目的として設計されたリスク回避型のプロセスに制約されている。AIがカスタマイズを必要とする一方で、彼らは標準化を前提に構築する。AIが迅速な反復を求める一方で、彼らは年次サイクルで計画を立てる。その結果は何か。過剰に設計されているが、野心に欠けるプロジェクトだ。技術的には健全だが、間違った問題を解決しているため、ビジネスに影響を与えない。

一方、ビジネス部門は、単に待てないという理由で、ITのガバナンスの外で「シャドー」AIプロジェクトを立ち上げる。迅速に動き、実際のビジネス成果に焦点を当てるため、成功するものもある。構想が不十分だったり実現不可能だったりして失敗するものもある。その中間、つまりITの支援があれば機能する可能性のあるプロジェクトは、初日から実現すべきだった遅延したパートナーシップを表している。

AIは課題解決以上のことを実現する

組織はビジネスニーズにAI導入を主導させなければならない。これは、今日組織にとって最も重要な業務は何かを問うことから始まる。時間、コスト、能力がもはや制約ではなく、何かを即座に、あるいはゼロの限界費用で実行できるとしたら、どの業務をもっと行いたいか。どの業務を異なる方法で行いたいか。

AIは既存の課題に対するソリューションであると同時に、新たな可能性を解き放つ手段でもある。既存のタスクをより速く、より安価にすることができ、以前は実現不可能だった機会を追求することを可能にする。

建設業界の例を考えてみよう。ある建設業者が入札勝率を高めたいと考えている。AIは従来の分析を上回る規模とスピードでデータを分析し、人間が効率的に選別できない非構造化データからインサイトを生成できる。これらのインサイトにより、コスト見積もりを改善し、不適切なプロジェクトを除外することで、入札勝率を2倍にできる可能性がある。建設業者は、過去には手を出さなかったような野心的なプロジェクトに入札できるようになる。

この種の力は企業にとって可能性を変えるが、それは適切な目標によって導かれる場合に限られる。AIが顧客体験の向上、意思決定の加速、新たな成長機会の特定といったビジネス優先事項と明確に結びついて展開される場合、その結果は変革的なものになり得る。単に新技術を導入するためだけに実装される場合、せいぜい生産性をわずかに向上させる程度だ。最悪の場合、測定可能な価値を一切もたらさない可能性もある。

AIの潜在能力を最大限引き出すにはビジネス主導で

ビジネス主導とは、ビジネス部門の幹部だけがAI施策を先導すべきという意味ではない。それは、さまざまな利害関係者を巻き込む部門横断的なプロセスだ。ビジネスリーダー、データ専門家、IT部門すべてが関与し、連携すべきである。初期のパイロットプロジェクトは、実現可能性だけでなく、実世界での影響を実証する潜在能力を考慮して慎重に選択すべきだ。そして成功は、成果とアウトプットの両方で測定されるべきである。目標は、より迅速な意思決定、より優れた戦略、具体的な結果を推進することだ。

以下のビジネス上の質問は、AIを始める組織の指針となるだろう。

• どの意思決定をより速く行えるようになりたいか。

• どこでビジネスを拡大したいか。

• どのような大きな変化がビジネスの成長に最も役立つか。

• どのようなインサイトがあれば、アクセスさえできればチームの成功を向上させられるか。

AIがその潜在能力に到達するのは、企業が基本的なビジネス目標を達成し、新たな機会を解き放つのを支援できる場合に限られる。ビジネスニーズが出発点である場合、AIは切り離された実験ではなく、変革の触媒となり得る。

forbes.com 原文

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