北米とユーラシアでは、ハイイロオオカミ(学名:Canis lupus)が群れ(パック)で狩りをする姿が見られる。群れに対するオオカミの忠実さはよく知られるところだ。一方、アフリカのサバンナにいるライオン(学名:Panthera leo)の群れ(プライド)は、協調するユニットとして獲物に忍び寄る。
オオカミとライオンのどちらも、捕食者を象徴する動物であり、甲乙つけがたいが、チームでの狩りという点では、どちらの方が優れているのかをめぐって議論がある。
だが、行動生態学者の間では、徹底したフィールドでの観察、数学モデル、数十年にわたる研究にもとづき、オオカミの方が戦略的に優位だと結論づける見解が増えている。その理由を解説しよう。
オオカミとライオンの「狩りの戦略」の違い
狩りをするオオカミと聞いて、たいていの人が思い浮かべるのは、雪原に扇状に展開して獲物の逃げ道をふさぐ、一糸乱れぬ優美なチームだ。このイヌ科動物がこれほど見事に集団行動をとれるのはなぜなのか。研究者は数十年を費やして、それを解明しようと試みてきた。
その理由として考えられるのは、オオカミが絶対的な社会性をもつ肉食動物であることだ。これはつまり、家族をベースとする集団で生活し、狩りをすることを意味する。そうした集団は、協力して獲物を倒し、一個体で倒せるものよりもはるかに大きな獲物を仕留めることも多い。
2015年刊行のモノグラフ『Wolves on the Hunt』で発表された長期間のフィールド研究によれば、オオカミの成功の鍵は、狩りで発揮される生来の行動、グループ戦術、ペース配分、粘り強さだという。
一方、「百獣の王」とも呼ばれるライオンは、それとは大きく異なるグループ戦略を採っている。ライオンのメスは共同で狩りをするものの、その協調のほどは、実際のところそれほど一貫しているわけではなく、世間や大衆文化のイメージとはほど遠い。
『Animal Behaviour』で発表された先駆的な研究では、アフリカライオンの共同での狩り64例が検証された。その結果、関与の程度が個体によって大きく異なることがわかった。つまり、積極的に狩りに参加するライオンもいれば、最後の最後になるまで参加を渋ったり「控えたり」するライオンもいたという。これは、たいていの人が思い描く、一体となったチームワークのイメージとはかならずしも一致しない。
こうした「動物のチームワーク」を精密に調べられるようになった一因として、行動分析の進歩がある。『Behavioral Ecology and Sociobiology』で発表された2023年の研究では、オオカミの群れによる狩りを動画データから分析するために、自動行動認識システムが開発された。
その狙いは、オオカミの狩りの方法、追跡や囲い込みといった行動のなかにある主要なパターンを抽出することにある。こうした定量的な枠組みを用いれば、オオカミがどのように協力し、いつ、どのような仕組みで連携するのかについて、生態学者は理解を深めることができる。



