宇宙

2026.02.22 11:15

アインシュタイン以来の衝撃 重力子グラビトン発見へ九州大らが前進

プレスリリースより

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九州大学と神戸大学の研究グループは、連星ブラックホールの重力波を解析し、そこに量子性の存在を明らかにした。これは、量子重力理論で予測されながら未発見だった重力の素粒子「グラビトン」の可能性がある。もしこれがグラビトンの発見につながれば、物理学に大変革がもたらされることになる。

重力は、古典的な物理学の解釈では波動としてとらえられていた。しかし、その挙動は量子力学できっちり説明がつく。つまり重力は、波のようであり、エネルギーの粒子でもあると考えると辻褄が合うということだ。

stock.adobe.com
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古典物理学では光は波と考えられていたが、光が粒子として振る舞うことをアインシュタインが「光粒子仮説」で提唱し、その後、光子の存在が確認されたことで物理学は大きく前進した。アインシュタインは、この光粒子仮説でノーベル物理学賞を受賞している。そして、それが現在の量子力学の基礎になった。

重力にも、光子と同じような重力子「グラビトン」が存在するはずだとされている。グラビトンには質量がない。だから光速で移動でき、力が減衰することがない。物質に干渉しないので、たいていのものは通過してしまう。だから、何億光年も離れた場所から発生したときの強さのまま地球に届くのだ。だが、電荷もゼロなので、電磁波を利用する観測機器では捉えられないという難点がある。

「グラビトンのコヒーレント状態が生成される」ことが分かるという時間発展演算子。
「グラビトンのコヒーレント状態が生成される」ことが分かるという時間発展演算子。

そこで研究グループは、電磁場の量子論を重力に当てはめ、連星ブラックホールの重力波を、世界で初めて量子力学的に記述、つまり古典理論の枠組みでモデル化した。それにもとづき、古典的な重力波に近いグラビトンの振る舞い(コヒーレント状態)を基準にして、連星系が生成する量子状態を評価して比較したところ、わずかなズレがあった。

そのズレは、重力が完全な波ではなく、量子性が含まれる可能性を示唆している。研究グループは「グラビトンの発見に迫るための画期的なステップ」だとして、明言は避けているが、これがもしかしたらグラビトン? と期待せざるをえない。もちろん、それを確かめるにはさらなる研究が必要だ。

もし、グラビトンの存在が確認されたなら、光子の確認に準ずる大発見となり、物理学はまたひとつ大きく前進する。重力をはじめ、宇宙の謎の解明が一気に進むことになるだろう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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