「(ロシアの)従軍記者や軍事ブロガーらの公開ページのスクリーンショットがオンライン上で出回っており、そこでは制限について不満が述べられています」。ウクライナ国家親衛隊第13ハルティヤ作戦任務旅団のドローン攻撃部隊「ヤスニ・オチ(澄んだ目)」に所属するドローン操縦士、イェウヘン・ホンチャロウは筆者のインタビューでそう述べた。「これは彼ら(ロシア軍)の通信・連携プロセスの多くが、この特定のメッセージングアプリと深く結びついていたことを示唆します」
それでも、今回の混乱はロシア側にとって都合の悪いものにせよ、一時的なものにとどまるというのがホンチャロウの見方だ。「(テレグラムが)遮断されればその瞬間は痛手になっても、壊滅的なものではありません。戦場での勢力バランスに大きな変化が起こるとは見込んでいません」
一方で、もっと直接的な影響がロシア軍の作戦面に出るとの見方もある。ウクライナ領土防衛軍第109独立領土防衛旅団の軍人アンドリー・ルミャンツェウは筆者の取材に答え、「スターリンクの遮断も考え合わせれば、これは前線での彼ら(ロシア軍)の通信をさらに悪化させる」と予想した。「部隊間と部隊内の両方で通信が弱体化するでしょう」
国産の代替手段を推進するロシア
BBCの報道によると、ロシアは2022年のウクライナ全面侵攻以前から、より主権的なデジタルインフラの構築に乗り出していた。その取り組みは戦争の進行とともに加速しており、ロシア国内で広く宣伝されている前出のMAXの推進はその一環だ。
しかし、この戦略にはロシアのさまざまなテレグラムチャンネルから批判の声が上がってきた。「調査ファイル。秘密のルート(ドシエ。セクレトヌイ・コントゥル)」というチャンネルは、一連の事態は一部の軍高官の怒りを招いていると書いている。将校らは非公開の議論の場で、国産の衛星通信システムでなく、軍事的有用性が限られるとみられるプロジェクトに多大なリソースが投入されていることに関して、より明確な説明を求めているという。
同チャンネルは、一部の軍関係者の間では、より厳しい結論に支持が集まりつつあるとも伝えている。国の優先順位がずれており、前線の通信の強靱化よりも国内のデジタル統制に大きな重点が置かれているという結論だ。


