多くのリーダーは、戦略が失敗するのは、実行の失敗によってだと考えている。実際には、戦略はもっと早い段階で失敗することが多い──それはリーダーが、戦略は従業員たちによって理解されている、と思い込んだときだ。
戦略発表は、上層部からの断固たる意思が感じられる。資料が共有され、全体会議が開かれる。会場には、うなずく頭が並ぶ。ところが数週間後、チームは何も変わっていないかのように振る舞う。優先順位は揺らぎ、古い習慣が再浮上する。
リーダーは、抵抗が問題だと結論づけるが、真の問題はタイミングにある。戦略と理解のあいだには感情的なタイムラグが存在するのだが、一部のリーダーはそれを過小評価している。
このギャップは、単なるエピソード的な事例ではなく、データに一貫して現れている。LSA Global (LSAグローバル)が引用した、ロバート・キャプランとデビッド・ノートン(二人はバランススコアカードの生みの親)の研究によれば、従業員の95%が自社の戦略を理解していない。2017年の『ハーバード・ビジネス・レビュー』には、適切に策定された戦略の67%が、実行力の欠如によって失敗したと書かれている。さらに米ハーバード・ビジネス・スクールは、戦略的取り組みの90%が失敗するのは、戦略に欠陥があるからではなく、従業員がリーダーの意図を日常の意思決定に反映させないためだと報告している。
よく見かけるパターンは、こういうものだ。従業員はうなずくが、行動には移さない。
よくある状況を考えてみよう。四半期ごとの全体会議で、リーダーが新たな優先事項を発表する。表面的には、メッセージは明確に見える。リーダーたちは、組織全体に伝える前に、役員会で議論を重ねている。しかし従業員は、会議で情報を得たと感じつつも、次に何をすべきかは不明瞭なままだ。数週間後、戦略は薄れ、日々の業務は変わっていないように見える。
戦略が定着するまでに時間がかかる理由
戦略を発表するリーダーは、すでにその策定にかなりの時間を費やしている。議論を重ね、ストレステストを行い、その影響への感情的な調整も済ませている。しかし従業員は、たった一度の会議で概要を聞かされるだけだ。
組織心理学の研究によれば、人は変化を、認知的・感情的に段階を追って処理する。認知的理解は「何が起きているのか」を理解することであり、感情的理解は「これが自分にとって何を意味し、どう対応すべきか」を納得することを指す。
言葉もまた役割を果たす。曖昧で抽象的な表現は、明確さのない表面的な合意を生み出す。「これは変革についての話だ」「もっとアジャイル(機敏)になる必要がある」といった発言は安全に聞こえるが、人々に何を止め、何を始めるべきかを伝えていない。
結果として従業員は、すでに知っていることに頼るようになる。そうした「既知」が変化するかどうかは、しばしばリーダーの言葉遣いによって左右される。



