政治

2026.02.19 16:15

ベゾスがワシントン・ポスト編集部3分の1解雇、「書評欄閉鎖」に米国購読者は

ワシントン・ポスト社屋外で「Save the Post(「ポスト」紙を救え)」のスローガンを掲げるデモ参加者たち、2月5日、Getty Images

ワシントン・ポスト社屋外で「Save the Post(「ポスト」紙を救え)」のスローガンを掲げるデモ参加者たち、2月5日、Getty Images

ジェフ・ベゾスによるワシントン・ポスト編集部レイオフに伴い、同紙の書評欄「ブック・ワールド(Book World)」の閉鎖も発表された。

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本欄に長年貢献してきた書評家で、1993年にピューリッツァー賞も受賞したマイケル・ディルダは1978年、20代後半でアシスタントエディターとして「ブック・ワールド」に加わった当時について、かつて2022年の記事で、印刷担当者たちは厚紙でページのモックアップを作成し、先輩編集者は古い音楽ホールの歌の一節を口ずさみながら『ブック・ワールド』のページを作っていた。編集長のドン・グラハムからは記事が良ければ褒め言葉のメモが届いた━━といった意味のコメントをしている。まさに「古き佳き」を思わせる甘き回顧である。


書籍部門(Books Desk)の閉鎖も

アマゾンは2026年1月、本社部門を中心に約16000人の追加人員削減(レイオフ)を発表した。2025年10月の約14000人削減に続く大規模な人員削減であった。

続く2月。ジェフ・ベゾスが2013年に2億5000万ドル(当時の為替で約250億円)で買収したワシントン・ポスト紙でも大規模な人員削減が行われ、800人規模のニュースルームから300人、実に3分の1以上が解雇されたことが報道された。ウィル・ルイス最高経営責任者(CEO)も退任した。

ポッドキャストの中止、スポーツ部門と海外特派員の大部分の解雇など、ほぼすべての部門が影響を受けるという。

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とくに、閉鎖が決まった書籍部門(Books Desk)には、冒頭のマイケル・ディルダはじめ、ジョン・ウィリアムズ、ベッカ・ロスフィールド、ヤコブ・ブローガン、ロン・チャールズといった著名な書評家が協力していた。米国の独立系出版社Grove Atlantic社長兼発行人モーガン・アントレキンらが運営する書評メディア「Literary Hub」は、「(「ポスト」紙の)『ブック・ワールド』は出版業界のゴールド・スタンダードだった」と悼んでいる。

ニューヨーク・タイムズ紙が運営するポッドキャスト・チャンネル「The Daily」の2月5日の番組内で、タイムズ紙の記者でありながらワシントン・ポストにも寄稿する記者のエリック・ウェンプルは、「人員削減はベゾスがかつて投資したニュースルームを弱体化させる行為だ」と批判した。ただ気になるのはウェンプルが、「主要な調査報道部門は比較的維持されるが、地域報道や国際報道などこれまで同紙が提供してきた多様な報道が失われる」と指摘したものの、書評欄閉鎖についてはとくに言及していない点だ。

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文=石井節子

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