ジゼル・ペリコ(73)
◯権利擁護活動家◯国籍:フランス
ジゼル・ペリコは2024年、フランスで史上最大規模のレイプ事件の被害者として裁判に出廷。匿名での審理を提案されたが拒否し、「恥じるべきなのは私たちではない。彼らの側だ」と法廷で語った。彼女は、自身の夫と50人の男たちから性的暴行を受けた。数カ月に及ぶ裁判の間常に法廷に姿を見せ、2025年に被告の1人が有罪判決を不服として控訴した際にも再び出廷した。フランスの現行法は「暴力、突然性、強制、脅迫」がない場合の同意なき性行為を強姦の定義から除外しており、彼女の姿勢は全国的な議論を引き起こした。裁判後、フランス上院は「同意の欠如」を強姦の定義に明確に含める法改正案を可決した。2025年7月、ペリコはフランス最高位の市民勲章レジオン・ドヌール勲章を授与された。
ラファエラ・ペトリーニ(57)
◯バチカン市国行政庁長官/教皇庁委員会議長◯国籍:バチカン市国
修道女ラファエラ・ペトリーニは2025年3月、カトリック教会の歴史上初めて、バチカンの行政機構における最高位のポストに就いた女性となった。死去前の教皇フランシスコが彼女を任命し、その後教皇レオによって正式に承認された。ペトリーニは現在、世界最小の独立国家であるバチカン市国の政策と国家機能を統括している。昇進以前はバチカン行政の事務総長を務めたほか、社会科学の博士号を取得した聖トマス・アクィナス教皇庁立大学で教鞭も執っていた。
アンヌ=ソフィー・ピック(56)
◯メゾン・ピック共同オーナー兼シェフ◯国籍:フランス
アンヌ=ソフィー・ピックは、女性シェフとして最多の計10個のミシュランの星を持つ。彼女はフランス南東部の高級レストラン「メゾン・ピック」を営む家族の下で育ったが、本格的に料理の修行を始めたのは、父が亡くなる数カ月前の23歳のときだった。創業137年を誇る同店は、1934年に祖父の代で初めて三つ星を獲得し、ピックの指揮の下で2007年に再びその地位を取り戻した。彼女は、2009年にはスイスにシンプルで洗練された料理で知られる「レストラン・アンヌ=ソフィー・ピック」を開業し、間もなく二つ星を獲得した。ピックは現在、パリとロンドンにもミシュランの星付きレストランを展開している。
ラファエラ・ピメンタ(53)
◯スポーツエージェント◯国籍:モナコ
ラファエラ・ピメンタは、サッカー界で最も影響力のある女性の1人として知られ、以前は弁護士として活動していた。彼女は18年間イタリアの著名なスポーツエージェント、ミーノ・ライオラとともに働き、2022年の彼の死後に顧客リストを引き継いだことで、サッカー界初の女性「スーパーエージェント」となった。男性優位のこの業界で、モナコを拠点とする高級エージェンシー「タティカ」を率いるほか、Women In Footballの非常勤理事も務めている。これまで数々の大型移籍を主導し、2022年にはマンチェスター・シティのストライカー、アーリング・ハーランドの11億ドル(約1683億円)規模とされる契約をまとめた功績で、Globe Soccerの年間最優秀移籍取引賞を受賞した。
ソウミャ・ラジャン(55)
◯ウォーターフィールド・アドバイザーズ創業者兼CEO◯国籍:インド
ソウミャ・ラジャンが2011年に創業したウォーターフィールド・アドバイザーズは、インドの超富裕層向けに独立系の資産管理サービスを提供。50億ドル(約7650億円)超の顧客資産を助言対象とするマルチファミリーオフィスとして運営し、銀行や証券会社が主導する業界にあって、金融商品の販売手数料(コミッション)を受け取らない戦略的アドバイスに特化し差別化を図っている。創業前のラジャンは、スタンダードチャータード銀行インドのプライベートバンキング部門を率いていた。インドで個人資産が急増する中、同社を有力な独立系アドバイザリーへと成長させるとともに、女性投資家への支援拡充にも取り組んでいる。
マリー・シャープ(85)
◯マリー・シャープス・ファインフーズ創業者◯国籍:ベリーズ
元小学校教師のマリー・シャープは、自宅の庭で育てたハバネロと野菜を使ってホットソース作りを始めた。彼女は当時、シトラス・カンパニーでフルタイムで働きながら家族に味見をしてもらい、改良を重ねたという。1981年、友人の後押しで販売を開始すると評判を呼び、やがて米国にも輸出される人気商品となった。その後、商標をめぐる争いを経て1992年にマリー・シャープス・ファインフーズを設立。同社は現在、ジャムや調味料も展開している。シャープは、2016年にはホットソース殿堂入りを果たした。
アンヌ・リゲイユ(56)
◯エールフランスCEO◯国籍:フランス
アンヌ・リゲイユは1991年、大学卒業後すぐに航空会社エール・アンテールに入社した(その後同社は、1933年創業のエールフランスと統合)。以後、同社グループ内でキャリアを重ね、1996年にオルリー空港の顧客サービス責任者に就任。2006年にはパリ・シャルル・ド・ゴール空港の地上業務担当副社長に昇格し、2017年には顧客担当エグゼクティブ・バイスプレジデントとしてラウンジ改装や機内設備の刷新を主導した。リゲイユは2018年、エールフランス初の女性CEOに就任し、現在は年間約4100万人を輸送する同社を率いている。同社が属するエールフランスKLMグループは2024年、売上高315億ユーロ(約5.7兆円。1ユーロ=181円換算)を計上した。
ヒセラ・サンチェス・マロト(51)
◯中米経済統合銀行(CABEI)総裁◯国籍:ホンジュラス
2023年、ヒセラ・サンチェス・マロトは中米経済統合銀行(CABEI)初の女性総裁に就任した。同行は資産規模180億ドル(約2.8兆円)の多国間開発銀行で、中米およびカリブ地域のインフラ、エネルギー、保健、教育分野に資金を供給している。サンチェスは国際金融・開発分野で長年経験を積み要職を歴任し、総裁就任後には過去最高益を含む好業績を達成。国際債券発行の拡大や信用格付けの向上を実現するとともに、ガバナンスと透明性の改革を推進し、気候変動対策や地域成長を後押しする中核的な金融機関へと同行を押し上げている。
マーサ・サゾン(54)
◯Mynt社社長兼CEO◯国籍:フィリピン
マーサ・サゾンは2020年にMynt(ミント)のトップに就任し、電子ウォレット「GCash」をフィリピン最大のフィンテック企業に押し上げた。Mynt(が運営するGCash)は2021年に初の黒字を達成し、評価額50億ドル(約7650億円)に達する同国唯一のユニコーン企業となった。サゾンは、INSEADおよびハーバード・ビジネス・スクールのエグゼクティブプログラム修了生という。GCashを貯蓄・融資・保険・投資・旅行予約・資産管理までを提供するスーパーアプリへと進化させ、2020年に2000万人だったユーザー数を2024年には9400万人へと拡大させた。Myntの2025年年初からの9カ月間の純利益は、前年同期比58%増の153億ペソ(約397億円。1フィリピン・ペソ=2円)に達した。主要な成長ドライバーだったオンライン賭博が政府によって禁止さえたことで、逆風に直面している。同社は年内のIPOを目指している。
キルステン・スハイト(51)
◯WWFインターナショナル事務局長◯国籍:スイス
キルステン・スハイトは、12歳のとき世界自然保護基金(WWF)のユース・ボランティアレンジャーとして活動していたという。そして、50歳を迎えた年に同組織の事務局長に就任した。世界有数の環境NGOを率いる彼女は、資金やプログラムの決定権を自然保護区で暮らす人々により近い現場へと移す戦略転換を主導している。この方針に沿ってWWFは、新たな研修制度の導入や保護措置の強化、80カ国に及ぶネットワーク全体での説明責任体制の明確化を進めてきた。スハイトの下で初の「先住民諮問グループ」を設立。環境保全と先住民の権利が交差する課題について、先住民の専門家が助言する仕組みを整えた。
アレヴ・エブズィヤ・シエスビエ(87)
◯陶芸家◯国籍:フランス
イスタンブール生まれの陶芸家アレヴ・エブズィヤ・シエスビエは、ボウル(椀)制作の世界的権威だ。その作品は世界約36の美術館の常設コレクションに収蔵されている。彼女は母国で陶芸に魅了された後、ドイツの陶磁器工場で修業を積み、デンマーク王立磁器製作所(現ロイヤル・コペンハーゲン)で技術を磨いた。シエスビエは1987年からパリを拠点に活動しており、フランス芸術文化勲章シュヴァリエおよびデンマークのダンネブロ勲章騎士章を受章している。
シャーロット・スレンテ(59)
◯デンマーク難民評議会事務総長◯国籍:デンマーク
シャーロット・スレンテは、難民や避難民を支援する世界最大級の人道団体の1つ、デンマーク難民評議会(DRC)の事務総長を2019年から務めている。同団体は毎年約800万人を支援しているが、米国がUSAIDを閉鎖したことで、重要な資金が突然打ち切られた。米国は2025年にそれまで第2位の資金拠出国だった。資金が縮小する中、世界の強制移動者数は増加を続けており、DRCも限られた資源でより多くを成し遂げなければならない局面にある。こうした状況下で、スレンテの指導力はこれまで以上に重要になっている。


