多くのテーマ型ETFがそれぞれ似たような銘柄を保有する理由は、流動性に関わる制約があるからだ。小型でニッチな銘柄は売買にかかるコストが高く、大規模に運用するのが難しい。そのため、ETFの運用会社は、たとえテーマとの関連が薄くてもメタのような流動性の高い大型株に頼ることが多い。
誰かが「宇宙探査」ETFを組成したいと考えても、1日に数百万ドル以上の出来高をもつ、純粋な宇宙関連株を50銘柄見つけるのは難しい。それよりも、衛星部門を持つという理由でアマゾンを、そしてGPSに関連するという理屈でアップルを組み入れる方が簡単なのだ。
その結果生じるのが「テーマ・ドリフト」と呼ばれる現象である。これは、テーマ型ETFの保有銘柄が当初掲げた投資テーマから徐々に逸脱していく現象のことを指す。時価総額や流動性に関する制約、パフォーマンスへのプレッシャーなどがその原因だ。結果として、投資家が当初意図していたコンセプトを反映しないエクスポージャーが構成される。そして、多くのETF投資家は中身を精査しないため、この逸脱はほとんど気付かれることがない。次世代ロボティクスというテーマを買ったつもりが、実際にはマイクロソフトやエヌビディアをさらに積み増しているだけということもある。
テーマ型ETFの運用資産は急拡大中だ。世界のテーマ型ETFの運用資産は約7790億ドル(約119兆円)に達している。これは過去数年の水準から大きく増加しており、投資家の強い関心を示している。新しい商品の投入も活発で、AIやクリーンエネルギーなど注目度の高いトレンドに対する需要を取り込むべく、過去1年間で数十本のテーマ型ETFが登場した。
しかし、この急成長は必ずしも厳密に構築されたポートフォリオを伴っているわけではない。従来型のアクティブ運用ファンドの多くは、ボトムアップのファンダメンタル分析、リスク管理、動的なポートフォリオ調整などを重視する。一方、テーマ型ETFはその保有銘柄がより集中しており、テーマベースの指数を受動的に追随するという構造上、その柔軟性は限られる。結果として、熱狂的な局面では割高なバリュエーションや投機的な市場環境にさらされやすい。


