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2026.02.15 12:00

株式市場には、なぜ非効率的なパターンが形成されるのか

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投資家は、市場はノイズに満ちていてもフェアなものだ、と信じたがるものだ。株価は動く。情報は浸透する。過剰なリターンはいずれ収束する。長い目で見れば、市場ではランダム性が勝つ。

しかし、投資家にとってのこうした「慰め」を、静かに打ち砕く研究が2025年5月に発表された。ペンシルベニア大学のビジネススクールであるウォートン校のジェシカ・ワクター教授らによる、株式投資のリターンをテーマにした研究だ。

この研究は、巧みな株取引のルールや、サンプル期間から外れると不適切になるようなバックテスト(過去データによる取引戦略の検証)には依存していない。その代わりに、株式投資のリターンが総体的に、あるパターンを描く理由について、より不穏ではあるが構造的な説明を提示している。つまり、ドリフト(決算発表のサプライズと同方向のリターンが長期にわたって発生する現象)からオーバーシュート(行き過ぎた動き)を経て反転する、というパターンのことだ。

これは、投資家に不合理なところがあるという、当然の事実に起因するものではなく、むしろ、洗練された市場でさえも、「繰り返しの罠」に悩まされるという事実によるものだ。

ワクターの論文は、「相関の無視(correlation neglect:実際には相関している情報を、独立していると扱う傾向)」という、人間行動におけるシンプルな失敗をメインテーマにしている。1度この論文を目にすれば、見なかったことはできない。そして、この論文の理論を市場に当てはめれば、「ランダム性が勝つ」という通説は、耳には心地よいが事実ではない神話に見えてくるはずだ。

「リターンとランダム性」が偽りの安心感である理由

単一の銘柄におけるリターンが予測可能だという説は、容易に退けることができる。ある会社が利益目標に到達できずに終わったかと思うと、別の会社は目標を上回る。こうして、ノイズ(変則的な動き)が積み上がっていくからだ。だが、市場全体のレベルで見た場合の予測可能性となると、話は別であり、ここでは非効率性は相殺されるはずだ。しかし今回の論文の結論は、こうした予想を裏切るものといえる。

この研究では、市場全体を見た場合、企業の業績に関する相互に関連し合ったニュースが次から次へと発表され、毎月のように同じようなサプライズがやって来て、投資家がこれに過剰反応してしまうメカニズムを示している。これらのニュースには明確に相互関連性があるにもかかわらず、投資家は、各々の決算に関するシグナルを独立したものとして扱う。

市場は過去のデータから未来を推測し続けるため、株価を同じ方向に、必要以上に高く押し上げていく。その結果生じるのは、カオスではなくパターンだ。まずは現在の上昇トレンドが継続し、その後に反転が訪れる。

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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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