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2026.02.16 11:30

OpenAIとエヌビディアに対抗、中国を支える新たな7人のAI億万長者

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中国のスタートアップ、DeepSeekが、低コストの人工知能(AI)モデル「DeepSeek-R1」を投入し、OpenAIのChatGPTに挑む存在として世界のテック大手を揺さぶってから、1年余りが過ぎた。未上場企業DeepSeekの創業者で、クオンツ(定量分析)・トレーダーのリャン・ウェンフォン(梁文峰)は、その後、億万長者の仲間入りを果たし、主に同社の持ち分を背景に、推定資産115億ドル(約1.8兆円。1ドル=153円換算)を築いた。

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中国が減税や国家資金でAI推進を加速する中、投資家は我先にと参入し、巨額の富が生まれている。2025年12月以降、AI関連の新規株式公開(IPO)により、中国で新たに7人の億万長者が誕生した。香港と上海でのこれらの上場は、北京がエヌビディアやOpenAIの国産対抗馬を育てようとする取り組みのもとで、合計29億ドル(約4437億円)を調達している。

いわゆる「スリー・コンマ・クラブ」(資産10億ドル[1530億円]超の富豪)の新メンバーには、エヌビディアの挑戦者とされるAIチップメーカー、MetaX Integrated CircuitsやMoore Threads Technologyの創業者に加え、OpenAIのような存在を目指すMiniMax GroupやKnowledge Atlas Technology(通称Zhipu)の創業者らが名を連ねる。いずれもいまだ黒字化していないが、損失を重ねているにもかかわらず、株価は上場以来95%から400%超も急騰した。

成長への賭け

中国のAI企業は大きな赤字が続くが、投資家は動じていない。

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「投資家は将来性に目を向けています」と、調査会社86Researchの上海拠点アナリスト、チャーリー・チャイは語る。最大の勝者が誰になるかを見極めるにはまだ早く、現時点では投資家が広く賭けに出ているのだという。

モルガン・スタンレーによれば、中国のAI市場(生成AIサービスおよび関連コンポーネントとインフラを含む)は、2030年までに売上高1兆4000億ドル(約214.2兆円)規模へ拡大する可能性がある。2024年に中国のAI産業全体の規模が32億ドル(約4896億円)だったことを踏まえると、400倍超という目を疑うような増加である。

Aberdeen Groupのシンガポール拠点インベストメント・ディレクター、シンヤオ・ンによれば、中国のAIスタートアップが世界市場の一部を獲得し得る潜在力についても、投資家は強気である。マイクロソフトのブラッド・スミス社長が最近指摘したように、中国のAI企業は低コスト製品で新興国市場のユーザーを獲得している。

ただし、赤字のスタートアップが持続し得ない評価水準で取引されているとみるアナリストもいる。金融サービス会社D.A. Davidsonのポートランド拠点シニア・リサーチ・アナリスト、アレックス・プラットは、「この分野に参入したい投資家の需要が非常に強く、プレミアムが付いています」と話す。「選択肢が増えるにつれ、投資家はより選別するようになります」とも述べた。

一方で、IPOラッシュは収まる気配がない。北京拠点の検索大手百度(バイドゥ、Baidu)は1月、半導体部門Kunlunxinをスピンオフ(分社化)し、その後に香港で上場させる案を発表した。中国のチップ設計企業Axera Semiconductorは今月上旬、香港でのIPOで30億香港ドル(約570億円。1香港ドル=19円換算)を調達したが、香港での上場後、株価は下落している。

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翻訳=酒匂寛

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