しかし、実際にサブプライムローンの証券化商品を買って損をしたのは、投資ブームに乗った中産階級や一般大衆で、このローンを借りて手にしたマイホームを手放すことになったのも、同じような階層の人々だった。
アメリカで始まった金融危機は日本にも大打撃を与え、株価が暴落。リーマン・ショック直後の2008年10月末、日経平均株価はバブル後よりもひどい26年ぶりの安値水準を記録した。
また、自動車関連などの製造業を中心に非正規雇用者が解雇される「派遣切り」が社会問題化。投機的金融業がつくり出した「借金のツケ」を世界中の実業で働く人々が支払わされた形だ。
製造業をはじめとする実体経済があって、初めて金融経済が成り立っている。あまりにも大切なこの事実を、世の中は忘れているかのようだ。
効率の良い金儲けは「ぎりぎりのグレーゾーン」
効率のいい金融経済が勢力を増して、効率の悪いとされる実体経済がどんどん減るとどうなるか。中産階級の富は富裕層に吸い取られて、世界中の格差が広がり社会が分断されるだけだ。
今もまさに、それは起こっている。
この根本的な問題を解決するには、金融資本主義を見直す以外にない。
では、そこまでマネーゲームを過熱させた張本人たちは反省しているのかと言えば、そんなことはない。その後の15年のアメリカ政府の政策はあいかわらず金融中心。残念ながら、企業の価値は今も「現在の株価×発行株数」という時価総額によって測られている。
今後も世界を巻き込むような経済危機はくり返されるはずだ。なぜなら、最も効率の良い金儲けの手段は、倫理的には許されないが法律では許されている「ぎりぎりのグレーゾーン」にあるからだ。
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