株主資本主義では、なるべく早く企業価値を上げることだけが求められ、企業の価値は「現在の株価×発行株数」という時価総額によって測られ、よりスピーディーに株価を上げることが経営者の命題となっていく。
この命題に最適なビジネスは何かと言えば、それは「お金がお金を生む」「お金自体が商品」である投機的金融業だ。しかし、お金がお金を生むといっても、全体としての価値が増えているわけではない。
これは「じゃんけん大会」に例えることができる。
1人あたり1万円を持ち寄って、100人でじゃんけん大会をしたとする。勝った人がお金をもらえるとして、じゃんけんを繰り返していく。すると、最後に勝った1人が、残り99人のお金をすべて奪って100万円を手に入れることになる。
富が富裕層へ移り、中間層が貧困層に
しかし、「富の総和」である100万円は増えていない。これが金融資本主義の実態である。誰かが得をするために、誰かがその分損をしている「ゼロサム・ゲーム」だ。このゲームでは中間層の富が富裕層に移動して超富裕層をつくり出し、富を失った中間層が貧困層になっていく。
サブプライムローンは「住宅バブルで価格が上昇すれば、住宅の担保価格が上がり優遇金利に借り換えできる」という売り文句で、本来ローンが組めない低所得者層に「金利優遇のない高金利のローン」を組ませてマイホームを購入させる仕掛けだった。
まさに「お金がお金を生む」発想の投機的金融商品。その後、住宅バブルが弾け、サブプライムローンが不良債権化し、マネーゲームを仕掛ける側のリーマン・ブラザーズが最も大きな損を被ったように見えている。


