ロシアがウクライナに全面侵攻を開始してから4年が経とうとしているが、ロシア軍は2月の厳しい寒波の中、ウクライナの火力発電所を標的とした大規模なミサイル攻撃を仕掛けた。同国では何千人もの人々が絶え間ない爆撃の中、凍えるような気温にもかかわらず、電気も暖房もない状態で生き延びようと必死に耐えている。
4年に及ぶウクライナ侵攻を終結させるための交渉で、米国は積極的な役割を果たしている。明確な進展が見られない中、米国のドナルド・トランプ政権は両者に合意を迫る可能性が高い。
過去4年間の加害者側の行為があらゆる定義におけるジェノサイド(集団殺害)の定義を満たしていることを示す証拠がそろっているにもかかわらず、強力な同盟国が攻撃を受けた国に妥協を迫った場合、戦争はどのように終結するのだろうか?
米司法省はジェノサイドを「特定の民族、人種、宗教的集団を、その全部または一部を破壊する意図をもって、5つの特定の行為によって定義される、意図的かつ組織的な破壊」と定義している。1948年のジェノサイド条約は「集団の構成員の殺害、重大な身体的または精神的危害を加えること、集団を破壊することを意図した生活条件の強制、出生の阻止、および子どもの強制移送」と規定している。ロシアは過去2年間、ウクライナ人に対してこうした行為を公然と行ってきた。これには、子どもの強制移送、拷問、女性暴行、民間人の大量殺害が含まれ、ロシア軍が一時占領していた地域で発見された集団墓地がその証拠となっている。
ウクライナの首都キーウと第2の都市ハルキウでは、1月と2月に気温が氷点下25度に達した。ロシア軍による大規模な弾道ミサイルと無人機(ドローン)攻撃により、キーウ、ハルキウ、ザポリッジャなどウクライナの大都市で数千人が電力と暖房を失った。ロシア軍は最も寒い週にウクライナの電力網を意図的に攻撃し、民間人に故意に危害を加え、病人や障害者、高齢者、貧困者など、避難ができず非常用発電機も利用できない社会の最も弱い立場の人々を殺害している。
米国はロシアによるウクライナ侵攻を終結させ、永続的な平和を確保する上で決定的な役割を果たし得る。アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで5日に開かれた米国、ロシア、ウクライナによる三者会談では、各当事者の立場の隔たりを全て埋めることはできなかった。ロシアの行動を取り巻く数多くの要因が、トランプ政権の取り組みの妨げとなる形で見落とされているようだ。ウクライナ以外の国々の安全保障上の脅威や、その存亡に関わる利益がそれに当たる。
ウクライナと世界の安全保障は、1月にスイス東部ダボスで開催された世界経済フォーラムでの議論の中心テーマとなった。ウクライナ大統領府の協力の下、同国の新興財閥オリガルヒ、ビクトル・ピンチュクが設立した財団が主催した会合には、ミュンヘン安全保障会議のウォルフガング・イシンガー議長や米国のキース・ケロッグ・ウクライナ担当特使らが参加した。
イシンガー議長は「現在、ほとんどの欧州人にとって最大の安全保障上の課題はウクライナだ」と指摘。「これはウクライナがこの戦争に敗北しないように支援することだけではない。この戦争は実は私たち自身、欧州全体、そして私たちの存亡に関わる利益に関するものなのだ」と強調した。
ウクライナ侵攻終結で欧州が果たすべき役割について言及したケロッグ特使は、欧州諸国は自らの集団的強さを過小評価していると指摘した。同特使は、欧州は75年間、米国が安全保障を支え続けるという事実を頼りにしてきたが「欧州は自ら考えているより強い」との見解を示した。その上で、「欧州諸国が結束すれば、集団として非常に強くなるだろう」と述べ、欧州の能力向上はロシアの判断に影響を与え得る可能性があるとした。



