アメリカの大学ではいま、“アプリ長者”を目指す学生が続々と生まれている。
スタンフォード大学在学中に写真共有アプリ「スナップチャット」を立ち上げたエヴァン・シュピーゲル(25)やボビー・マーフィー(27)を見て、多くの大学生が、じつは億万長者への近道はスマートフォン向けのアプリをつくることなのではないか、と考え始めているのだ。
そのなかには、タフツ大学(本誌「アメリカ大学ランキング2015」では24位)を今春に卒業したばかりの3人組がいる。ガブリエル・ジェイコブズとその同窓生のアマドゥ・クルックス、そして、マリオ・ゴメス・ホールだ。
2012年、コンピュータ科学の講義を通じて仲良くなったジェイコブズとクルックスは、人間工学を専攻していたゴメス・ホールとチームを組み、音楽共有アプリ「シンバル(Cymbal)」を開発した。
シンバルは、“音楽版インスタグラム”のようなもので、利用者は自分のお気に入りの曲を1曲だけ、アルバムのアートワークとセットで投稿できる。投稿した曲は、写真共有アプリ「インスタグラム」のように、フォロワーのタイムラインに流れ込むのだ。
つまり、友達とつながれば、彼らの選んだ曲がタイムライン上に集まる。それはまさに、「自分の人生のサントラ」である。
今年の3月に出したベータ版は、タフツ大学の学生の間で大ヒットした。
「誰かをベータ版に招待するたびに、『私も会員になりたい!』というメールが5〜10件も届いたよ。人気が爆発したね」と、ゴメス・ホールは振り返る。
ベータ版の成功を受けて、ゴメス・ホールとクルックスはそれぞれ、マイクロソフトとグーグルからの内定を断り、ジェイコブズとアプリの開発に取り組んだ。
シンバルはすでに1万7,000回以上もダウンロードされ、複数のベンチャー投資会社から合計110万ドル(約1億3,750万円)を調達している。
その人気にウハウハなのは創業者たちだけではない。たとえ人気が短命で終わろうとも、タフツ大学にとってはよい宣伝になるからだ。同大学でコンピュータ科学を教えるベン・へスコット教授も満足のようだ。
「ひょっとすると、アップルのような会社が買収するかもしれませんし、口コミでもっと人気が出るかもしれません。なにせ、みんなが使っているわけですからね」