アート

2026.02.19 10:15

高級ブランド財団におけるコンテポラリーアートへの違和感

ゲルハルト・リヒター展(Photo by Luc Castel/Getty Images)

ゲルハルト・リヒター展(Photo by Luc Castel/Getty Images)

この1月、パリにある3つの美術館を訪ねました。フォンダシオン ルイ・ヴィトン、ブルス・ドゥ・コメルス、カルティエ財団現代美術館です。

ブルス・ドゥ・コメルスはケリングのオーナー、フランソワ・ピノーのコレクションを軸とするものなので、どれも高級ブランドの財団が運営し、競うように有名な建築家が手がけたミュージアムということになります。順番にいうと、フランク・ゲーリー、安藤忠雄、ジャン・ヌーヴェル。ルイ・ヴィトン財団はブローニュの森にあり、あとの2つはルーブル美術館の近くに位置し、いずれも場所が戦略的に選択されています。

今回、一挙にこれらを見歩き、2022年の共著『新・ラグジュアリー 文化が生み出す経済 10の講義』において1章をアートについてページを割いたことをあらためて考えました。

同書では高級ブランドがコンテンポラリーアートを促進している意味や背景を語りながら、フランスが文化大国と評価されているわりに、国際アート市場でフランスのギャラリーとアーティストの存在感が後塵を拝している状況を指摘しました。

19世紀から20世紀中ごろまでに活躍したフランス人の作家、あるいは国の政治力によって収集した世界の美術品の数々、これらが文化大国の評価の支えになっています。21世紀のフランス人アーティストやギャラリーが評価を支えているとは言い難く、米国、英国、中国のパワーに押され気味です。だからこそ、アートバーゼルのパリ開催や高級ブランド財団によるプライベートミュージアムのオープンを政府も後押ししてきたわけです。

その意味で、財団は「優秀で生真面目な学生」に見えなくもない。しかし、上述の書籍は2021年頃に書いたのですが、その時、ぼくは高級ブランド財団のアートとの付き合い方にモヤモヤするものを感じていました。古いラグジュアリー戦略ではないか、と。特に、これらのコレクションや展示がコンテンポラリーアートに集中しがちであるのも、ぼくの判断を躊躇させる一つの理由です。

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文=安西洋之(前半)・前澤知美(後半)

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