食&酒

2026.02.18 14:15

「混ぜる」より「和える」? 食から考える共助のあり方

「三豊食サミット」

「食」がつなぐ地域の処方箋

象徴的なエピソードを語ったのが、長野県小諸市でクリニックレストラン「kozorite」を営む、医師であり料理人でもある高桑雅弘だ。地域の訪問医療に医師として携わりながら、自ら料理人として店に立ち、地域の人々や医療・福祉従事者に料理を振る舞っている。

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実は高桑、医学生時代にイタリアに料理留学し、シェフとしての腕を磨いたという異色の経歴を持つ。医者が健康を謳ったレストランを経営するケースは見かけるが、日々の診療で忙しいなか、自ら現場で料理を振る舞うケースは稀であろう。一体、何が彼を突き動かしているのか。

kozorite店主/Clinic Restaurant代表取締役の高桑雅弘
kozorite店主/Clinic Restaurant代表取締役の高桑雅弘

「医師としての仕事は、基本的に病気に罹った患者さんを治すことです。でも、病気が顕在化する前や、違和感や孤立が芽生える段階から関われたら、もっと深いところで人々に寄り添えるのではないかと考えたんです」

高桑は、普通の生活のある環境に、目的がなくても立ち寄れる場所、そこに医療や福祉が溶け込む拠点をつくろうと、小諸駅から徒歩1分の立地に小さなレストランを開いた。共に切り盛りするのは、彼の志に共感した医療・福祉従事者たちだ。

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医師と医療・福祉従事者たちが店にいることもあり、高齢者や日常的に医療の支えを必要とする人も安心して立ち寄れるのはもちろん、同じ医療や福祉に携わる人や主婦、学生など、さまざまな人が集るコミュニティの場となっている。ここでは医師でも患者でもフラットな関係が築け、誰もが何者かになれる。料理をする人、配膳する人、話を聞く人、ただそこにいる人。役割の多様性が、人々を孤立から救い、尊厳を回復させていく。まさに食を通じて、「和える」場が立ち上がっているのだ。

「病気になっても、障害を負っても、人生の最終段階を迎えても、その人がその人らしく在り続けられる街をつくりたい。医療や福祉が外から与えられるものではなく、地域のなかで循環するような“生き切れる街”。このレストランから、その輪が広がればいいと考えています」と高桑の視座は高い。

自然が和える塩が教えてくれること

サミット前日に満月と新月の塩の食べ比べを披露してくれた浪越シェフ
サミット前日に満月と新月の塩の食べ比べを披露してくれた浪越シェフ

「満月に汲み上げた水でつくる塩と、新月に汲み上げた水でつくる塩では、味がまったく違うんです」

そう話すのは、シェフで塩職人の浪越弘行だ。三豊市で薪火グリル付きゲストハウス「ku;bel(クーベル)」や、塩のブランド「THIRD RICH SALT」を手がけている。

実際に食べ比べてみると、満月の塩はまろやかでやさしい味わいがあり、新月の塩は切れ味が鋭く、しっかりとした塩味を感じさせる。

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文=国府田淳

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