テクノロジー

2026.02.14 12:00

フィジカルAIがXR、VR、AR技術を呼び戻す

Shutterstock

まさにここで、拡張現実がロボットを支援できる。

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AR開発者は長年にわたり、空間マッピング(空間の3D地図作成)、リアルタイムの環境再構築、物体追跡といった課題に取り組んできた(VR開発者も同様である。Meta OculusでVRセッションを始める際に境界線を設定した経験を思い出してほしい)。デジタルの物体をコーヒーテーブルの上にあたかも実在するかのように表示する、あの技術が、今や工場や物流センターでロボットのナビゲーションに活用されているのだ。

その結果、静かな技術の融合が起きている。ARが空間知能のインフラへと変貌を遂げつつあるのだ。SLAM(自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術)、深度センシング(奥行き計測)、空間アンカー(仮想オブジェクトを現実空間の特定位置に固定する技術)といったAR由来の技術が、この変革を直接支えている。

VR世界では、仮想訓練が現実世界での訓練に比べて桁違いに速く、コストも低い。例えばエヌビディアは、倉庫、工場、研究施設の写真のように精密な現実空間の仮想複製(デジタルツイン)を企業が構築する支援を行っている。ロボットはまずそこで訓練を受け、強化学習が加速されたスピードで実行される。1日に数千回ものシミュレーションが可能になる。

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それは映画『レディ・プレイヤー1』のメタバースでもなければ、2020年にザッカーバーグが思い描いたメタバースでもない。しかし、ロボットを迅速に訓練するうえでは不可欠な基盤なのだ。

人間にとっても、数千億ドル(数十兆円)規模の投資から生まれつつあるものがある。常時オンの文脈情報だ。

メタのスマートグラスは、すでに常時オンの音声制御アシスタントを搭載している。翻訳機能を備えたモデルもあり、見ているものや聞いているもののAI要約も提供する。AR対応バージョンでは、回答、道案内、文脈データを表示する統合型ヘッドアップディスプレイが加わる。講演者向けには、メタがレイバン・ディスプレイグラスにテレプロンプター機能(原稿表示機能)を展開しており、スマートフォンや紙に目を落とすことなく、メモや原稿をテキストカードとして視界内に表示できる。

要するに、これは常時オンの文脈的知能拡張のフレームワーク(枠組み)であり、これが新たな常識になるとペックはいう。

「私はこれを現実のスペクトラム(連続体)として捉えています」とペックは語った。「視野の中にデジタル資産が全く存在しないものから、ある程度の拡張が混在するものになるでしょう」。

こうした遍在性が、追加のプロジェクトも生んでいるとペックは言う。グーグルはARグラスに取り組んでおり、サムスンも同様だ。さらに、超ハイエンドのApple Vision ProでVR市場に参入したアップルでさえ、より軽く、よりシンプルで、より手頃なものを出してくる可能性が高い。

つまり、将来的にはスマートグラスを使う人の方が使わない人より多くなり、実質的に自らの知能を拡張するようになる可能性が高い。その拡張の1つが人の名前の記憶だとペックはいう。

「私にはもう文字通りRAM(メモリー)が足りないんです。何かの情報を捨てなければなりません。子供の名前は絶対に捨てられませんから、誰かの顔か名前を忘れることになる。そうなるんです」。

だが、常に拡張された状態でいることは、将来の人間関係にとって興味深い(厄介な)課題になるだろう。

「将来の親にとっての悩ましい点は、子どもが親を真正面から見つめているように見えながら、親を無視できるようになることですね」とペックは冗談交じりに語った。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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