「無制限」プランを大幅ディスカウントで販売、しかし動画生成には厳しい制限を設定
別のユーザー2人は、Higgsfieldが「無制限」プランとして大幅なディスカウントを売り込みながら、後になって生成できる内容を制限していたとフォーブスに証言した。同社は、ブラックフライデーの販促では、65%の割引を打ち出し、グーグルの「Nano Banana」のような高性能かつ高額なモデルを月額25ドル(約3875円)で無制限に利用できると約束していた(競合のRunwayは同等の利用に月額76ドル[約1万円]を請求している)。このセールは成功し、数百人のクリエイターが無制限利用をうたうプランに申し込んだ。
しかし、複数のHiggsfieldユーザーはフォーブスに対し、1日に数本の動画を生成した後、「処理速度が極端に低下した」と証言した。匿名を希望したあるユーザーは、「追加のクレジットを購入しなければ、アプリは使いものにならない。アクセスが完全に絞られてしまう」と語った。
デ・シルバは、Higgsfieldのサイトに「大量のアクセス」が集中し、一部ユーザーのAIツールの動作が遅くなったことを認めた。彼は、「貴重な計算資源を消費し、実際の利用者にも影響を及ぼした不正なボット活動の急増が、速度低下の一因だ。12月と1月には、こうした自動化された攻撃を理由に約4万件のアカウントを停止せざるを得なかった」と説明した。同社によれば、速度低下の影響を受けた正規ユーザーに対し、これまでに135万ドル(約2億1000万円) を返金したという。「プラットフォームを使おうとしてもタイムアウトしたり、エラーが出たりすることが確かにあった。それが利用者にとって不満の残る体験だったのは理解している」とデ・シルバは語った。
ベンチャーキャピタリストの間では、Higgsfieldが大幅な割引や、300万ドルル(約4億7000万円) 相当の無料プロモーションコードの配布といった高コストの施策に依存して大量の有料登録を獲得している点に、疑問の声が上がっている。支払った対価に見合うサービスを受けられないと感じたユーザーが、解約に至るケースも少なくない。「このビジネスの収益構造が持続可能かどうかは不透明だが、売上高は非常に速いペースで伸びている」と、同社に詳しいある投資家は語った。
デ・シルバは、Higgsfieldが極めて「資本効率が高い」と強調し、年間経常収益(ARR)が2億ドル(約310億円)に達するまでの過去10カ月間の資金消費額が50万ドル(約7800万円) だったと主張した。「我々は、まるで核の冬が迫っているかのように経営している。資金消費には非常に慎重だ」とデ・シルバは述べた。
熾烈な競争が続くAI業界では、インフルエンサーマーケティングが製品を広く普及させるための主要な戦術となっている。CNBCによれば、OpenAIやアンソロピック、グーグル、メタといった大手企業は、スポンサー付きコンテンツを投稿させるためにSNSクリエイターに数十万ドル(数千万円)規模の報酬を支払っている。報道によれば、マイクロソフトとグーグルは数カ月間で40万〜60万ドル(約6200万円〜9300万円)をインフルエンサーに支払ったとされる。フォーブスの報道では、OpenAIも2024年に「インターネットクリエイター責任者」を採用し、インフルエンサーを戦略の中核に据えている。
報酬を受け取れないと訴える声が相次ぎ、出金やアカウントを巡る苦情がDiscordチャンネルに並ぶ
Higgsfieldは2026年初め、同社ツールを使ってバズるコンテンツを制作し、投稿時に同社をタグ付けまたは言及すれば報酬を得られる「Higgsfield Earn」と呼ばれるプログラムを立ち上げた。投稿のシェア数や「いいね」が多いほど、クリエイターの報酬も増える仕組みのこのプログラムは、開始から最初の20日間で、1万人のクリエイターが参加し、5万本の動画が投稿された。
しかし、フォーブスが確認した同社のDiscordチャンネルの投稿によれば、動画を制作して投稿したにもかかわらず報酬を受け取れないと訴えるクリエイターが相次いでいる。そこには、「銀行口座への報酬の出金がうまくいかない」「投稿した動画が消えてしまう」「理由の説明もなくアカウントが停止された」などの苦情が並んでいた。
デ・シルバは、このインフルエンサープログラムでも不正行為が急増していると説明する。Higgsfieldで制作していないコンテンツで報酬を得ようとしたり、動画の再生数や「いいね」を水増しするためにボットを使ったりするケースがあったという。彼は、一部のクリエイターへの支払いが遅れた可能性は認めつつも、投稿された動画の90%に報酬を支払っていると主張した。


