「先に知っていれば別れなかった」過半数の意味
興味深いのは、マッチングアプリで出会った相手と別れた経験がある人のうち、過半数の人が「価値観や考え方を先に聞いていれば、別れは避けられた」と回答している点だ。この数字は、ともすれば「事前に確認さえできていれば、失敗しなかった」という話に見えがちだ。しかし注意すべきは、これは別れた後の視点で語られているということ。実際の恋愛では、事前に知っていても感情が勝ることもある。価値観は時間とともに変わることだってある。魅力だと感じていた点が、後から大きく異なって見えてくることも珍しくない。
「別れを防ぐ万能な方法」というものはないのかもしれない。それでも、人がどこで後悔を感じやすいのか、その焦点がどこにあるのかを可視化している点に意味がある。


後悔が集中するのは「人生観の違い」
後悔の内容として多くあがったのは、「恋愛観・結婚観」「将来のイメージ」「金銭感覚」「コミュニケーション」だった。いずれも好みの違いというより、人生の前提や価値の置きどころに関わるテーマだ。正解・不正解で測れるものではなく、事前に完全にすり合わせることも難しい。ただし、こうしたテーマが後からズレとして現れやすい領域であることは、この調査からもわかるし、おそらく実体験としてもうなずくことが多いだろう。
出会いを遠ざけるメンタルパフォーマンスの悪さとは
恋愛市場という選択肢が多い環境で、人がどのように迷い、どこで後悔を感じやすくなるのか。調査元は、「効率よく選ぶこと」ではなく、「考える負担や後悔といった心理的な負担を減らし、納得して判断できる状態」を重視する考え方として「メンタルパフォーマンス」に言及している。略して「メンパ」。
出会いにおけるメンパは、決して効率よく相手を選ぶためのものではない。また、結果を保証する話ではない。別れないことや失敗しないことを約束するものでもない。それでも、何もわからないまま選ぶより、相手をより理解しようとしたうえで選ぶほうが、判断に対する納得感は残りやすい。それが「メンパがいい選択」ということだろう。この調査は、その当たり前だが見過ごされがちな事実を、出会いという文脈で浮かび上がらせた。
出会いに限らず、選択肢があふれる現代において、私たちは「選べる自由」と引き換えに、選択するストレスを抱えている。何もわからないまま、確かめようがないまま、モヤモヤと事が進んでいく形のない不安感よりも、「わかった上で会ったこと、そして交際するか否かを自分で決めたこと」、これこそがメンパがいい出会い……という事だろうか。確かにどんな結果になろうとも、自分の人生を自分でコントロールしている感じはする。今後は、納得して決断していく「メンパ」も意識していきたい。


