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2026.02.18 11:00

過去ではなく「今」の行動に基づき商品レコメンド EC検索の停滞を打破するスイス発AIスタートアップ

Shutterstock.com

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Eコマース向けにディスカバリー(商品発見)エンジンを展開するチューリッヒのスタートアップ、「アルバトロス(Albatross)」は2月12日、スペインのオンラインマーケットプレイス「ワラポップ(Wallapop)」と初の戦略的パートナーシップを締結した。昨年末に1200万ドル(約18億円)超の資金調達を完了した同社は、ワラポップとの初期テストにおいて、ユーザーエンゲージメントが2倍以上に増加したと報告している。

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アルバトロスは、自社のテクノロジーを「リアルタイムで理想の商品に出会うためのAIプラットフォーム」と定義している。同社のケビン・カーンCEO(最高経営責任者)は、「従来のアプローチでは、過去データに基づく画一的なレコメンデーションが繰り返されるに過ぎない。我々はこの課題を解決しようとしている」と説明する。

カーンは、商品の検索や発見に用いられる技術は、少なくともこの10年、ほとんど変わっていないと指摘する。現在のパーソナライズされたレコメンデーションや検索結果は、今最も人気があるとエンジンが判断した推奨内容や、ユーザー自身の過去の閲覧履歴、さらに類似ユーザーの閲覧傾向に基づいて生成されている。「根本的な問題は、これらの戦略が過去ばかりを参照し、ユーザーの今の行動や意思決定に焦点が当てられていないことにある」とカーンは主張する。

こうした現状は、Eコマースにおいて買い手と売り手の双方に不利益をもたらしている。買い手には代わり映えのしない商品ばかりがレコメンドされる。例えばテーブルを購入すると、画面にはさらに多くのテーブルの画像が表示されるといった具合だ。一方の売り手も、膨大な数の商品が検索結果やレコメンデーションに表示されないまま埋もれ、販売機会を逃している。

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これに対し、アルバトロスは商品発見において異なるアプローチを採っている。同社のAIモデルは、ユーザーの行動の順序や文脈を学習することで、リアルタイムに進化する体験を提供し、よりパーソナライズされた結果を生成する。このモデルは、より幅広いレコメンデーションを提示し、ユーザーの反応や操作に応じて提案を継続的に更新していく。「我々は、ユーザーを体験の中心に据え直している」とカーンは語る。

ワラポップのロブ・キャセディCEOは、アルバトロスの手法が自社プラットフォームに競争優位性をもたらすと確信している。「ユーザーが何を求めているかをリアルタイムで理解するシステムへ移行することで、買い手は理想の商品により早く到達でき、売り手は出品物の露出を高めることができる」と彼は語る。

ワラポップは、1ヵ月にわたる試験運用を完了し、アルバトロスの商品発見エンジンの本格導入に踏み切った。両社が公表したテスト結果によれば、ユーザーエンゲージメントは119%、お気に入り登録およびインタラクションは105%、購入意向は47%といずれも大幅な増加を記録したという。

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編集=朝香実

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