スパークスでは、新規に投資する銘柄の検討・選定を、どのように行っているのか? 前回の記事では同社の運用調査本部に新たに加わったアナリスト、紙崎翔一朗氏が新規銘柄の社内プレゼンテーションを行う銘柄選定会議の場にForbes JAPAN編集部が“潜入”。ヒリヒリする真剣な議論の応酬の続編である。
(前回の続き)
「富士急行は極めて割安で、成長ポテンシャルが高い」と主張する新人アナリスト。高い収益性、「絶叫アトラクション」などの人気、インバウンド人気の一方で株価の割安感。これは投資すべきだという声と、先輩たちから出てくる鋭い指摘の数々。その顛末はいかに。
阿部:富士急行ほどの知名度がある企業が1100億円というのは、確かに僕も安いと思った。一方で平野君が言うように「安いには安いなりの理由がある」。そこに対して紙崎君も「こういう理由で安いけど、それは間違っている」とはっきりは言えなかった。その「Why」に答えられないとダメなんだ。なかなか答えはないんだけどね。ないけれど、そこを考えて答える、理屈にあったストーリーを見出す頭の回転こそが僕らの価値だよね。でも僕は総じて面白いと思った。
紙崎君もスパークスでの“デビュー戦”で普通はビビるんだけど、ビビらずに頑張りました。どう、研究余地はあるんじゃない? 平野君もそう思うでしょ?
平野:はい。それはそう思います。
年間の調査件数は4000件
Forbes JAPAN編集部(以下、フォーブス):今日は銘柄選定会議を見せていただき、ありがとうございました。富士急行はアミューズメントパークそのものより、運輸業がメインというのが面白いですよね。
阿部:しかも地域をほぼ独占で、すごくいい商売。めちゃくちゃ儲かるわけじゃないし、すごく成長はしないかもしれないけど、ずっと安定して収益を上げられる。節度をもってコツコツと。恐らくこの地域から出ないでしょうね。
フォーブス:ちなみにこの会議はどれくらいの頻度で行われるんですか?
阿部:これは週1回ですね。ただ、各アナリストがその日に調査した会社のことを報告しあうのは毎日やってますね。
フォーブス:毎日? それはメチャクチャ大変ですね。
平野:デイリーの報告は、今回ほどの密度ではやってないですけど、ウチの場合、1年間の調査件数は、のべで約4000件なんです。ファンドマネージャー・アナリストが約20名いますので、1人平均200社というイメージなんですが、そこまで調査しても投資に至らないことの方が圧倒的に多いんです。
フォーブス:銘柄会議で「じゃあ新規で投資しよう」となる確率はどれくらいなんですか?
阿部:僕がこれを買おう、と思った時は、皆から(心の中では反対していても)「そうですね」って、しぶしぶ言ってもらえるときはあるけど(笑)、基本はみんなで決めるというプロセスを踏みます。
フォーブス:だいたい、どこに力点を置いて決めることが多いのでしょうか。
平野:結局、最後は俗な言葉でいうと「華があるかないか」みたいな話になってくるんです。〝華がある〟というのは、ひとつにはビジネスとして将来的にしっかりと成長できるということ。もうひとつは、例えばセイコーが銀座に和光を持っているように、人を惹きつける不動産とか、価値ある有形・無形資産を持っているかどうか、というところを見ています。



