スパークスが“苦手”な投資
平野:ですから私たちが“苦手”な投資というのも明確にあります。例えば20年前にAmazon.comに投資できるかというと、私たちのロジックではなかなかできない。というのも、同社の場合、将来的な成長を既に織り込んだ株価になっているわけですが、他社であれば「伸び続けている」という業績の方向性だけで投資することも可能です。
けれど我々のように「価値と価格のギャップに対する裁定」というロジックでは、この手の企業は将来の不確実性が高すぎて、価値と価格のギャップを言語化するのが難しいんです。
阿部:あえて名前を挙げるとソフトバンクグループとかね。今後、半導体とかAIとかで収益が伸びていくから株価はもっと上がるという話が新聞に出ていたけど、スパークスではそういう議論にはならない。それはウォーレン・バフェットも同じことを言っていますね。アップルは買えたけど、エヌビディアとかGoogleがこれから伸びるといっても、買えなかった。最近になって、バフェットさんは「Googleを買えなかったのは失敗だった」とも言っていますが、〝根源的に強い会社を割安で買う〟というバフェットさんのバリュー投資の手法には馴染まないんですよね。僕らは彼の手法を学んで影響を受けてきたグループなので、既に高いものをもっと高く、という投資はやはり苦手ですね。
フォーブス:そうすると中小型株で、知られざるものすごい強みを持っている割安な会社を発掘してくるのが得意というか。
阿部:まあ、どういう株でも、実態として割安だと言い切れるファクトが積み上がれば、時流に反していても買うというか。むしろ時流に反している方が、どちらかといえば、「いいね」という空気がありますよね。遠回りなようでも、それを30年やって圧倒的な結果が出ているので、ウチはそれでいいんだという確信を持っています。
フォーブス:今日はスパークスのアナリストになった気分でバリュー投資のリアルな選定現場を見せていただきました。ありがとうございました。
スパークス・アセット・マネジメント株式会社
運用調査本部
徹底したボトムアップリサーチに基づき、日本株を中心としたアクティブ運用を行うファンドマネージャー・アナリスト(約20名)によって構成される同社の中核部門。
企業価値の分析、少数意見を重視する投資戦略、そして持続的なリターンを目指す調査能力が特徴。
同社が「日本株の運用会社として最大の信頼」を得るための強固な銘柄選択力を支えている。
※今回は同部門の6名が参加する銘柄選定会議に同席



