東南アジアの配車およびフードデリバリー大手であるグラブ・ホールディングスは、米デジタル投資プラットフォームのStash Financial(スタッシュ・ファイナンシャル)を買収すると発表した。スーパーアプリの収益化が進む中、同社はこの買収により金融サービス分野での展開を拡大する構えだ。
グラブによるスタッシュの買収は現金と株式交換により行われ、全2段階で進められる。グラブによれば、まず評価額4億2500万ドル(約646億円。1ドル=152円換算)で同社の50.1%を取得し、残る持ち分は今後3年間で公正市場価値に基づいて取得する予定だ。この取引は、規制当局の承認および通常のクロージング条件を満たすことを前提に、第3四半期に完了する見込みであるとされている。
50億ドル(約7600億円)の運用資産と100万人超の有料加入者を抱えるスタッシュは、AIを活用した投資プラットフォームを提供している。グラブはフードデリバリーと配車サービスを基盤に、決済、融資、デジタル銀行業務へと同社のスーパーアプリを拡張してきた。グラブの説明によれば、スタッシュのキャッシュフローは黒字で、同社の調整後EBITDA(利払前・税引前・償却前利益)は2028年までに6000万ドル(約91億円)超に達する見込みだ。
グラブのCEO兼共同創業者であるアンソニー・タンは、この買収は「信頼される国際的な金融サービス提供企業へと進化するうえでのマイルストーンだ」と述べた。「今回の買収は、高い利益率を持つ継続的なサブスクリプション収益をもたらすだけではない」とタンは語り、スタッシュによりグラブのフィンテック事業が強化されると付け加えた。
グラブ、2025年通期で約304億円の純利益──初の年間黒字
グラブはこの買収発表と同時に、2025年通期で2億ドル(約304億円)の純利益を計上したと報告している。これは同社にとって初の年間黒字であり、前年は1億5800万ドル(約240億円)の純損失を報告していた。通期の売上高は前年比20%増の34億ドル(約5168億円)だった。
「株主に価値を提供できるだけでなく、当社のプラットフォーム戦略を加速させるための柔軟性が高まる」とグラブCFOのピーター・オイは述べた。
同社は株主還元の強化にも取り組んでおり、5億ドル(約760億円)を自社株買いプログラムに充てる方針だ。一方、2021年にナスダックへ上場したグラブの株価はこれまで、損失拡大を背景に70%超下落している。
グラブは東南アジア8カ国で5000万人超の月間アクティブユーザーを持つ。またシンガポールとマレーシアではデジタル銀行サービスを展開し、インドネシアでも関連会社を通じて同様の事業を運営している。



