欧州

2026.02.13 10:00

ウクライナ軍が南部で「反攻」とロシア主張 スターリンク制限と絡めナラティブ戦展開

Shutterstock.com

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ロシアはウクライナ軍が南部ザポリージャ州で反転攻勢を開始したと主張している。この主張がされ始めた時期は、米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」へのロシア軍のアクセスが新たに制限され、前線の通信に支障が出始めた時期と重なっている。

アナリストらによると、ロシア側が流布する「ウクライナの反攻」というナラティブ(語り)は、ロシア側が以前に主張していた疑義のある領土獲得の話と符合する。スターリンクの制限によって通信に障害が出るなかで、ロシア側のナラティブはにわかにロシア軍の進撃からウクライナ軍の反撃に移り変わった。

他方、この戦闘の背景には外交圧力の高まりがある。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領によると、米国は和平合意を6月までに成立させることを求めているとされる。このタイムリミットにより、ロシア側が持続的に圧力をかけ続けてきた前線の帰趨は、一段と重要な意味を持つようになっている。

2022年にウクライナ南東部マリウポリでウクライナ兵として戦い、ロシア側の捕虜になった元英国軍人ショーン・ピナーは、筆者のインタビューで「懸かっているものはたいへんに大きい。現状についての認識がそのまま外交に直結するからです」と語った。「ウクライナが行き詰まっているように見えれば、不利なディール(取引)をのませようとする圧力が高まります。一方、ロシアが能力を著しく消耗しているように見えれば、ロシアはどのような交渉でも影響力を一気に失います」

「反攻」主張はナラティブ戦の一環か

米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は、ロシア軍はザポリージャ州フリャイポレ方面や、その近くの南部ドニプロペトロウシク州オレクサンドリウカ方面での自軍の前進に関するこれまでの虚偽の主張を撤回するために、ウクライナの反攻に関する報告を捏造した可能性が高いと分析している。

ウクライナの軍人オレクサンドル・ソロニコは「言っておくが、アサルト(突撃)のすべてが反攻というわけではない」とX(旧ツイッター)に書き込み、ロシア側のナラティブに反論している。

ISWによると、ロシア軍の部隊は以前にこれらの方面での領土獲得について誇張しており、あとになって、実際には当該陣地を保持できていなかったことの辻褄を合わせるため、ウクライナ軍による反撃を持ち出したとみられるという。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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