ウクライナ領土防衛軍第108独立領土防衛旅団のドローン(無人機)操縦士、ダニーロ・マカロウは筆者の取材に「状況はよくありません。敵は毎日押してきます」と話した。同旅団は数年にわたりザポリージャ州で戦っている。マカロウによると、ロシア軍が局所的な突撃に大量の歩兵を投入し、滑空爆弾で市街地を爆撃している一方、ウクライナ軍部隊は人員をはじめとするリソース面の制約が強まるなかで対応を強いられている。
スターリンク遮断の影響は
ロシア側の主張が出てきた時期は注目に値する。ロシア側によるスターリンクへのアクセスに新たな制限が設けられ、ロシア軍の前線での作戦に混乱が生じ始めた直後のことだったからだ。
前線から最大で200kmかそこら後方の高価値目標を攻撃するために使われるロシア軍の攻撃ドローンは、「ルビコン」のような精鋭ドローン部隊が運用するものを含め、通信手段をスターリンクに依存してきた。
その能力が低下した結果、ロシア軍は勢いを失いつつあるように見える。とはいえ、ロシア軍のドローンによる圧力が消えたわけではない。ウクライナ陸軍第23独立機械化旅団のドローン操縦士オレクサンドル・ホロブは筆者の取材に、ザポリージャ州から東部ドネツク州にかけての方面で、ロシア軍のドローン活動に休止は見られないと述べた。むしろ現在、ロシア軍は以前のざっと3倍の数のドローンを投入しているという。
一方で、前線の一部では戦闘の強度が低下していると言うウクライナ軍人も複数いる。フリャイポレ近郊で戦う陸軍第92独立強襲旅団の迫撃砲中隊長アナトリー・トカチェンコは「かなり落ち着いています。少なくとも1カ月は(ロシア側の攻撃が)減速していると思います」と筆者に述べた。
前進は局所的、戦略的突破はない
現時点では、ウクライナ側によるザポリージャ市東方での戦闘は、大規模な反転攻勢の開始ではなく、弱体化した区域を安定させるための努力とみられる。ウクライナ軍による現在の攻撃についてトカチェンコに尋ねると、具体的な詳細は明かせないものの「状況はよい」という答えだった。


