圧力にさらされる前線
ここ数カ月、ウクライナ南東部の前線ではウクライナ側への圧力が高まっていた。ウクライナ軍は過去2カ月、ロシア軍の前進を遅らせるべく、陸軍第92独立強襲旅団の部隊をはじめ、最も装備の整った強襲部隊の一部をフリャイポレ方面に集めている。
米紙ニューヨーク・タイムズは、ウクライナ側にとって最も大きな脅威となっている攻勢はザポリージャ州南東部で行われていると報じ、この方面でのロシア軍の前進はウクライナに対する外交圧力の増大につながりかねないと指摘している。
フリャイポレは、西へ65kmほど離れた州都ザポリージャ市を防衛するうえで、長らく重要な防御拠点となってきた都市だ。工業の要地で、ウクライナのアナーキスト、ネストル・マフノの出身地としても知られるフリャイポレは、かつては前線全体のなかで最も安定した方面のひとつだった。だが、ロシア軍がザポリージャ州東部に深く進軍してくるにつれて、その安定は崩れてきている。ロシア軍は、人口およそ70万人のザポリージャ市に向けて少しずつ前進している。
ウクライナの国営通信社ウクルインフォルムによると、ウクライナ南部防衛軍が保持する地域での交戦発生数は1月に18%増加し、1326件にのぼった。なかでもフリャイポレ方面では62%も増えており、この方面でロシア軍の圧力が急激に強まっていることを示している。ニューヨーク・タイムズは、ロシア軍の攻撃への対応で約1100kmにおよぶ前線に戦力を引き伸ばされているウクライナ軍は、すべての方面を均等に防衛するのに十分な兵力を欠いており、この脆弱性のためロシア軍による前進がより容易になっていると解説している。
2025年11月、ウクライナ軍のある部隊がフリャイポレ周辺の陣地から撤退した。当局はのちに、調整を欠いた撤退だったと認めている。南部防衛軍報道官のボロシンは、その結果、「この地域でのわが軍の作戦構造の一翼が露出し、近傍部隊の人員が掩護のない状態に置かれました」と述べ、ロシア軍は悪天候に乗じて隙を突いたと説明した。
フィンランドのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)団体ブラックバード・グループによれば、ロシア軍は同年9月から11月にかけてザポリージャ州南東部で15あまりの村を占領した。アナリストらはウクライナ軍の主な脆弱性として、マンパワー(人的戦力)不足や、リソースに乏しい領土防衛部隊への依存を挙げている。


