愛知県蒲郡市の「竹島水族館」は、昭和の風情が残る……といえば聞こえは良いですが、相当ボロい……。
かつて年間12万人規模まで来館者が落ち込み、閉館の危機に追い込まれたこの施設。現在では人気水族館として全国から注目を集め、来場者は約50万人にV字回復。
ボロいし目玉もないしカネもない…綿密な工夫と独自の発想による逆転のロジックが、活性化につながります。竹島水族館がどん底の状態から盛況へと転じた実際の取り組みを紹介し、成功のポイントを「エフェクチュエーション」理論で解説します。
エフェクチュエーションとは、バージニア大・サラスバシー教授によって提唱された、成功している起業家や事業家に共通する5つの考え方を中心とした理論です。重要なのは、最初から壮大な目標や精緻な計画を描くことではなく、「今あるもの」「今できること」から未来を形づくっていくという点にあります。

竹島水族館のマスコットキャラクター、アシカのタケアシくん 竹島水族館 公式インスタグラムより(@takeshimaaquarium)
どん底からのスタート/赤字・入館者数減少の現実
竹島水族館は1956年の開館以来、三河湾の観光地という立地を活かして営業を続けてきましたが、平成に入ると大型水族館ブームの影響を受け、入館者数は減少。平均で20万人前後だった入館者数は、最も厳しい時期には約12万3000人まで衰退。これは採算ラインを大きく下回る水準であり、議会でも廃館が検討されるほど危機的でした。
さらに竹島水族館が直面していたのは、慢性的な資金不足でした。イルカやペンギンといった人気生物を飼育することは難しく、大規模な展示設備を導入する余裕もありませんでした。普通に考えれば、ずばり八方塞がりです。
しかし、カネがないからこそできる工夫を重ねます。例えば、水槽展示を補助する装置の多くは、ホームセンターや100円ショップで材料を調達し、職員が自作したものでした。ブロック塀をアパートの個室に見立てたり、岩場の泡を再現する仕組みには、ひもでくくったバケツを使うなど、低コストながらも工夫をかさねています。




