経営・戦略

2026.03.04 15:15

「ちっさいボロい、イルカいない」けど面白い。竹島水族館の超・低コスト赤字逆転劇

愛知県蒲郡市 竹島水族館にて、筆者撮影

竹島水族館が示す、中小企業へのヒント

竹島水族館の事例は、資源がないからできないのではなく、資源がないからこそ生まれるやり方があることを示しています。手持ちから始め、失える範囲で試し、仲間を巻き込み、想定外もチャンスとして捉え、操縦桿を手放さない。この姿勢は水族館に限らず、中小企業や地域事業、個人の挑戦にも応用できるはずです。

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ここまでを踏まえると、竹島水族館の学びは理論の理解にとどまりません。むしろ読者が自社の現場に戻った時、次の問いとして使えるはずです。

第一に、いま手元にある資源は何かという問いです。お金や設備だけではなく、地域の関係性、現場の知識、人材なども資源になり得ます。

第二に、許容できる損失はどこまでかという問いです。売上目標から逆算するのではなく、失っても致命傷にならない範囲で小さく試すのです。

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第三に、弱点を隠すのではなく言語化して価値に変えられないかという問いです。古い、小さい、地味といった要素は、見せ方と物語次第で、味があり、距離が近く、ほっこりする…といった見方もできるのではないでしょうか。比較不能の独自性に変わる可能性があります。

大規模な資本投下で一気に勝負する道が取りにくい時代だからこそ、こうした問いは中小企業だけでなく、事業部やプロジェクト単位にも有効でしょう。本稿で強調したいのは、竹島水族館が特別に恵まれていたから復活したという話ではない点です。制約の中で意思決定を積み重ね、その結果として強みが立ち上がった。そう捉えると、同じ構造はさまざまな現場に潜んでいるのではないでしょうか。

大企業や中小企業、あるいはあらゆる業種に関係なく、不確実な未来。そして、小さなお店や会社であればあるほど、制約条件が多く、その中でも何とかしてブレイクスルーしたい。そんな時にエフェクチュエーション理論が多くの事業者にとって大切な指針となるのではないでしょうか。

文=秋元祥治 編集=石井節子

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