現在はInfracorpに注力、欧州の空港やデータセンターへの投資や中東の資金を活用し事業を拡大
2024年12月、ジェネラの残りの持ち分もSusi Partnersに売却(売却額は非公表)したギレッリは、ナヤラからの退出も視野に入れつつ、現在はさまざまな分野に投資するInfracorpに注力している。投資分野は大きく4つに分けている。すなわち、輸送・インフラ、エネルギー転換と自立、宇宙経済、そして分散型AIとセキュリティだ。
ギレッリは、これまでに1億ドル(約153億円)以上を投じ、65件超のプロジェクトに出資してきたと述べている。そこには、米国でのバイオメタンおよびバイオエタノールプラント、イタリアでの自動車廃棄物をエネルギーに変換する施設、イタリアとフランスで開発中の18カ所のデータセンターなどが含まれる。加えて、イタリアでの軌道上データセンターや洋上原子力発電所の設計にも取り組んでいるという。
リビエラ空港のハブ化構想と、欧州全域にプライベート空港を展開する計画
ギレッリがこれまでに発表した案件の中で最も注目を集めているのは、2024年に取得したリビエラ空港だ。この施設は、イタリア北西部ジェノバ近郊に位置するプライベートジェット専用ターミナルで、モナコからは車で約80分、ヘリコプターなら25分の距離にある。ギレッリは、この空港をモナコ向けの航空ハブへと発展させる構想を描いている。モナコは国土が狭く自前の空港を持たないためだ。同様のプライベート空港を欧州全域で16カ所展開する計画で、1カ所あたりの投資額は約6000万ドル(約92億円)を見込んでいる。
「民間空港はプライベートジェットにとって利用がますます難しくなっている。一方で、プライベートフライトは増加しており、今後も新技術によってコストが下がるにつれて拡大が続くだろう」とレフェーブル・ドヴィディオは語る。彼は、カリフォルニア州のジョビー・アビエーションのような企業が手がける電動航空機を例に挙げながら、「プライベートジェット専用空港には大きな可能性がある」と強調した。
こうした巨額プロジェクトの資金を、ナヤラの持ち分を売却した場合の自己資金も含めてどこから調達するのかという問いに対し、ギレッリは懸念を示さない。「将来のキャッシュフローが見通せるビジネスモデルであれば、資金調達は比較的容易だ。世界中で資金確保に苦労はしていない。中東からは特に強い関心が寄せられている」と彼は述べている。
ギレッリのアドバイザーも同様の見方を示す。トルコの眼科チェーン、デュニャギョズのCEOでInfracorpの顧問を務めるギュチュル・バトゥキンは、「賢い人間は自分の資金を使わない。資本市場を活用する」と語る。「世界中には投資先を探している資金があふれている。誰と資本を活用するかを見極めることが重要で、彼はそれをよく分かっている」。
また、Infracorpの別の顧問で、ベンチャーキャピタルの支援を受ける宇宙飛行技術企業スピンローンチのCEO、マッシミリアーノ・ラドヴァズはこう評価する。「彼はアメリカ的な発想を持ち、リスクを取ることをいとわない。適切なタイミングで方向転換する力がある」。
もっとも、ギレッリの最新の賭けが成功するかどうかを判断するには時期尚早だ。ただ、彼自身は1つ確信していることがあるという。すべてを合算すれば、ナヤラ投資を上回るリターンを得られるという見通しだ。「4倍から5倍に近いリターンが得られると見込んでいる。特に宇宙とデータセンター分野では」と彼は語る。
ただし、それが実現するとしても、数年先の話になりそうだ。


