マネージャーが、仕事の優先事項や意図を明確にしていないと、従業員は自分でその空白を埋めるしかなくなる。その結果、読みを間違う人もいれば、完全に立ち止まってしまう人もいるだろう。
やがて、マネージャーが忙しそうだったり、余裕がなさそうに見えたりすると、部下は質問をためらうようになる恐れがある。そうしたためらいが蓄積していくと、ちょっとした迷いや不安のせいで仕事のやり直しが増え、ひいてはエンゲージメントが低下していく。
自信という罠
マネージャーになりたての頃は、信頼を築こうとして、つい断定的に振舞って逆に極端な行動に走ってしまう可能性がある。対話を促すより結論を口にし、意見を求めるよりも、さっさと答えを出そうとする。
こうした行動に走ってしまうのはたいてい、自信が欠けているせいだ。エグゼクティブ向けコーチングの調査や職場研究によると、新たに昇進したリーダーの約3分の1は、自らの能力とその立場に対する自信にズレがあって苦労しているという。
2019年以降、リーダーとしての役割がより注目される一方で、曖昧さが増しているなか、自分に自信が持てない新任マネージャーが、75%も増加しているという。しかし多くのマネージャーは、そうした不安を見せずに断固たる態度を取ることで対応している。
その結果、チームにおける心理的な安全性が損なわれてしまうことになる。心理的な安全性は、チームの業績と密接に結びついているが、部下は、懸念している事項や異なる意見を口にしなくなる。マネージャーは、質問が少ないのはコミュニケーションがうまくいっている証しだと思うかもしれないが、実際にはフィードバックが途絶えているだけなのだ。
優れた新人マネージャーはどう行動するのか
マネージャーに昇進した後、効果的なリーダーシップコミュニケーションを行うには、マインドセットのシフトが必要になる。目指すべきはもはや、「その場で最も賢い人間」になることではない。思考を可視化することだ。
こうした転換が重要であることは、数十年にわたるリーダーシップ研究で証明されている。Center for Creative Leadership(CCL)の研究によると、仕事の背景と意図の説明を優先させるマネージャーは、指示しか出さないマネージャーよりも、チームの足並みがより揃いやすく、実行段階でのミスも少ないという。「コントロールすること」よりも「明確であること」の方が、パフォーマンス向上の鍵になるのだ。


