生産性の高いハイパフォーマーは、高い成果を上げるからこそ昇進する。決断が速く、プレッシャーがかかる状況でも力を発揮し、上司からの指示を待たずに率先して行動する。
一方、ハイパフォーマーがマネージャーになると、その立場に慣れるまで、予想以上に苦労することが多い。個人としての成功の原動力となった「強み」は必ずしも、人をまとめる立場でも通用するとは限らないのだ。問題が、スキルや努力にあることはほとんどない。むしろ、リーダーとしてのコミュニケーションや、思考を可視化する必要性に迫られることが問題になる。
マネージャーになりたての頃は、自分の頭の中でははっきりしている事柄が他人にも伝わっていると思い込みがちだ。しかし、こうした思い込みは高くつく。
「Employee Benefits News」によると、リーダーシップ・コミュニケーションのまずさによって米国企業が被る損失は、年間1兆2000億ドル(約183兆円)に上ると推定されている。生産性の低下や離職、機会の損失という形で生じるその損失は、従業員1人当たり1万2506ドル(約191万円)に相当するという。
Gossman Groupの調査では、リーダーに接する時間が週6時間以上という従業員は、週1時間のみの従業員と比べて、仕事に対する意欲が29%、エンゲージメント率が30%高いことがわかっている。
リーダーとしての立場に立ったら、個人としてのパフォーマンスはもはや差別化要因にはならない。リーダーになることで、役割は、「仕事をうまくこなすこと」から、「周囲の人間が成功できるよう、仕事を明確に説明すること」へとシフトする。
仕事を行う立場から、仕事を説明する立場へ
ハイパフォーマーは背景をすでに把握しているため、問題が発生したときも、段階を飛ばしてすぐさま解決に動くことが多い。そして、マネージャーとなってからもこうした進め方を変えない。このとき、思考の流れは頭の中にとどまったままだ。そのため、論理的な根拠を与えず部下に指示を出したり、説明もなく決定を下したりすることが頻繁に起こる。
マネージャーという役割に就いた時に変わるのは、仕事の複雑さではなく、誰に対して仕事をするのかだ。マネージャーとは、自分で問題を解決する人間ではなく、ほかの人たちを通じて問題を解決する存在なのだ。



