富裕層を巻き込んだ投資スキームを巡り、コンパスと元CEOが責任転嫁
裏切られた形となった宝石の所有者や投資家たちは、今もなお、ダイヤモンドの返還、もしくは少なくとも一部の資金回収を望んでいる。彼らは、2025年6月に売却されたファーダーの自宅(原告側が「市場価格を下回る」と主張する700万ドル[約10億6000万円])について、売却代金の凍結を求める裁判所命令を申し立てている。この不動産は、オレンジ郡の不動産ブローカーでありファーダーの友人でもある人物が設立した持ち株会社に売却された後、現在は920万ドル(約14億円)で市場に出されている。
裁判所に提出された契約書の写しによれば、ルガノで起きたとされる不正の核心は、特定のダイヤモンドの持ち分を富裕層の顧客に販売し、そのダイヤを宝飾品に加工して別の富裕層に売却した際に、出資者に対して多額の利益分配を約束するという仕組みにあったとみられている。最終的な買い手が見つかるまでの間、ファーダーは、投資した資金に対して利息を支払うとも約束していたという。
利益分配を約束して販売するも、約13億7000万円が未払い
原告の1人であるクリストファー・ウィンターズは、「2023年と2024年に行ったダイヤモンド投資について、900万ドル(約13億7000万円)が未払いになっている」と主張している。契約書によると、ウィンターズは3つのダイヤモンドの50%の持ち分を取得するため、ファーダーに300万ドル(約4億6000万円)を支払っていた。ファーダーは買い手を探している間、元本に対して月10%という高率の利息を支払うと約束していたとされるが、ウィンターズが受け取った利息は1回分だけだった。その後は支払いが途絶え、ウィンターズは現在、「そもそもファーダーがそのダイヤモンドを所有していなかった可能性がある」と考えているという。
コンパスがSECに提出した書類によると、ルガノの帳簿では、こうした取引による資金流入は通常の売上高として処理されていた。そこには、元本を返済する義務や、利益を分配する義務があることは一切記載されていなかった。後にコンパスが雇った会計士は、これらダイヤモンド取引について、返済義務を伴う負債として1億8400万ドル(約280億円)分を計上し直す必要があると判断した。
ファーダー側の弁護士、高級宝飾業界の慣行だと反論
では、コンパスやサボCEOは、これほど多くの兆候をどうして見逃したのか。これに対し、ファーダーの弁護士ジェフ・リーブスは、「見逃してなどいない」と反論する。リーブスは、ファーダーがスケープゴートにされていると主張し、一連の疑惑は「責任転嫁を狙った、悲しくも明白な試みだ」と述べている。
リーブスは、こうした資金調達の仕組みについて「高級宝飾業界では一般的な慣行であり、コンパスは監査委員会や内部監査、外部監査を通じて、その実態を把握していたはずだ」と主張している。「コンパスは何も見逃していない。何が起きていたのかを理解していた。ここに不正は存在しない」と彼は述べている。リーブスはまた、ファーダーが「自身のハイム・ファミリー・トラストに不正な送金を行い、ルガノから数百万ドルを盗んだ」とするルガノ側の主張も否定している。
「ファーダー本人やその家族、あるいは関連するいかなる組織にも、資金が流用された事実はない」とリーブスは言う。「これら契約に基づいて第三者から支払われた資金は、すべて直接ルガノに入っている」と彼は語り、「それと異なる主張は、単に誤っているだけでなく、法的責任を問われかねない」とも述べている。
リーブスは、「コンパスが事実を隠蔽しようとしている」と主張する。彼は、「コンパスが主張している売上高の減少は虚構だ」と述べて、その主張が、ルガノの財務報告を十分に監督しなかった自社の責任を覆い隠すために作られた誤った物語の一部だという。コンパスはこれらの取引を把握しており、「事業運営上の恩恵を享受するために、それらをあえて存続させていた」とリーブスは主張している。
開示されていない取引相手を用い、隠蔽工作を行ったとコンパスが主張
サボは、ルガノの破綻について、またそれに関連して誰かを解雇したのかどうかについて、代理人を通じてフォーブスの取材に応じることを拒否した。現時点でコンパスは、ファーダーが「開示されていない取引相手からなる複雑なネットワーク」に依存し、同社が設けていた管理・統制を「無視または意図的に骨抜きにする異例の行動を取ることで、発覚を免れようとした」と主張している。
ルガノはまた、かつて同社で事業開発担当幹部を務めていたファーダーの息子、トム・ファーダーもこの不正に関与しており、自身の人脈を使って帳簿外のダイヤモンド取引を取りまとめていたと訴えている。SECへの提出書類では、ファーダーが「十分な注意義務を欠いていたルガノの従業員」を巧みに操っていたとも主張している。
これに対し、ファーダー側の弁護士は、コンパスが言うところの「複雑なネットワーク」には、現在は暫定CEOを務めているジョシュ・ゲイナー(取材には応じていない)を含め、ルガノのほぼ全員が含まれていたと反論している。また、刑事訴追を受けていない自身の依頼人が、今後、反訴を起こす意向であることも明らかにした。
「仮にコンパスが今主張していることが事実だとすれば、多数の関係者の認識や関与なしに、そんなことが起きるはずがない」とリーブスは語る。これに対しコンパスは、フォーブスへの回答で、「当社は、ファーダーの行為に関与し、容認し、あるいはそこから利益を得たという見方を否定する」と述べている。


