もっとも、興行収入の取り分だけが制作スタジオの収益ではない。2023年にディズニーの広報担当者は筆者に対し、「(DVD、ブルーレイ、関連商品の販売など)その他の収入もある。これだけでは全体の採算は判断できない」と述べている。
しかし制作にはマーケティング費用など他の支出も伴う。これらは制作会社の財務諸表には含まれていない。家庭用のメディアや関連商品からの収入を加えるなら、宣伝にかかった費用も差し引く必要がある。そのため、本作が最終的に利益を上げた可能性は低く、実際の最終損益には暗い影が落とされていることだろう。
確かなのは、この事がディズニーによる積極投資を止めるには至らなかったという点だ。同社が発表した2026年度第1四半期決算では、エンターテインメント部門の営業利益が11億ドル(約1700億円)と35%減少したが、その一因は「制作費の増加」とされた。
ディズニーが支出を縮小していないのには理由がある。『白雪姫』の次に公開された『リロ&スティッチ』も古典アニメのリメイクであったが、その興行収入は10億ドル(約1500億円)に達した。これはディズニーアニメ原作映画の実写化作品として4番目に高い成績であり、『白雪姫』の損失を大きく補填しただけでなく、このジャンルが依然として成功につづく道筋であることを証明している。


