経営・戦略

2026.02.12 10:00

ディズニー、実写版『白雪姫』で約260億円の損失か 申告書で予算超過が明らかに

Rodin Eckenroth/Getty Images for Disney

ハリウッド映画の制作費は通常、厳重に秘匿される。制作スタジオは申告書で全作品の支出を合算するが、個別に開示することはない。しかし英国で制作された作品は例外であり、『白雪姫』もその1つだ。同国の魅力的な税制優遇措置により、英国はハリウッド映画制作者にとっての一大拠点となっており、そこで撮影された作品の費用には光が当たるのだ。

advertisement

英国で撮影する制作スタジオは、同国が認めるオーディオビジュアル支出税額控除の恩恵を受け、英国内支出額の最大25.5%が現金で還付される。ただしそれには条件がある。

還付を受けるには、制作にかかった主要費用の少なくとも10%が英国での活動に関連していなければならない。その証明のため、制作スタジオは作品ごとに英国で映画制作会社(Film Production Company、FPC)を設立する。これらの会社は法的拘束力のある財務諸表を提出し、従業員数や社会保障費、スタジオが受け取った還付額、総制作費までを開示する。

だが、その実態を解明するには多少の調査が必要になる。これらの会社は通常コードネームを用いるため、ロケの許可申請時にファンの注目を集めることはない。コードネームと実際の作品を照合するには業界に関する深い知識が必要であり、筆者と同僚は約15年にわたる取材でそれを蓄積してきた。英国の映画制作会社の財務諸表を専門的に報じる記者は世界で筆者らのみであり、私たちはこれまでタイムズ、ガーディアン、デイリー・テレグラフ、インディペンデント、ロンドン・イブニング・スタンダードなど10以上の主要紙で記事を執筆してきた。

advertisement

コードネームが正しく特定されれば、該当する映画制作会社の財務諸表から制作費を把握できる。還付制度の条件として、各社は「作品のプリプロダクション、主要撮影、ポストプロダクションおよび完成作品の納品」に責任を負う必要がある。つまり、その財務諸表には英国内での費用だけでなく、制作全体にかかった費用が示されている必要があるのだ。また「1作品につき制作会社は1社のみ」と規定されており、費用を他社の財務諸表の中に隠すことは認められていない。

『白雪姫』を手がけたディズニーの子会社は、アニメ版の女王がもつ宝石箱の留め金の形状にちなんだ、「Hidden Heart Productions」という社名を持つ。財務諸表の提出は段階的になされ、プリプロダクションの段階から始まり、請求書の回収や支払いの受領を確認するために公開後も長期間提出を続ける必要がある。

2023年、筆者は英デイリー・メール紙で、主要撮影が終了したばかりなのにもかかわらず、2022年7月31日時点でディズニーがすでに1億8330万ドル(約280億円)を費やしていたことを明らかにした。

次ページ > 『白雪姫』で多額の損失が発生した可能性が高い

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事