ラップは、さらにこう続ける。「この関係が逆になってしまってはいけない。『今はAIが何でもやってくれる』と思っている人もいるが、私が何かの専門家でない限り、(AIが)出力するあらゆるものについて、正しいかどうかを判定できない。ゆえにこれは、昔からある入力と出力に関する問題だ」
「ということは、AIを使いたいなら、プロンプト作成のノウハウを知らなければならない。それはつまり、自分の属する業界を熟知している必要があるということだ。(両氏のリポートにある)50のプロジェクトのリストを見て、『一番収益性が高いものを選んだ』というわけにはいかない。選んだトピックについて専門家でない人が、AIに指示を出して本当に役立つ出力に結びつけるのは、非常に難しいはずだ」
10億ドル企業を支えるタスクを分析する
見識のある創業者が、AIを使用できる領域を見極めるための手引きとして、チャラール、ラップの両氏は、ロゴのデザインから顧客訪問、請求業務まで、ビジネスにおける主要なタスクや職務を集めたリストを作成した。その項目数はすでに180を超えたが、さらに拡張しているところだという。
「項目数は数千にまで達すると確信している」とチャラールは見通しを語る。「一人経営の10億ドル企業を構築するには、事業を行なっている企業で発生するありとあらゆるステップを考慮に入れる必要がある」
仮に、大企業で1000人の従業員が達成していることを1人で成し遂げようという考えのもとに企業を立ち上げるなら、これらのステップすべてを理解するのは「非常に大きな課題になるだろう」とチャラールは指摘する。「だから、自分が取りかかることに準備ができていなければならない。最終的には、それがものを言う」
しかし、この難関を回避する方法があるかもしれない。両氏のリポートも指摘しているように、正規の従業員が1人しかいない企業であっても、フリーランスや請負業者などの社外のチームに頼ることは多い。フリーランスで構成される分散型チームを重用するトレンドは、フリーランスの働き手のAI分析を提供するMercor(メルコア)のような、グローバルな人材プラットフォームの成長を牽引する原動力になっている。その背景には、外部委託に対応する質の高いチームの需要が世界中で高まっているという事情がある。
「一人(での会社経営)は、目標としては優れているが、実際問題としてチームは常に必要になる。なぜなら最終的に、どんな事業にもチームワークは必要になるからだ」とチャラールは指摘する。「我々のリポートに、組織構造に関する記述を加え、タイトルに『組織図の再考』と入れたいと考えたのも、それが理由だ。なぜなら将来的には、今よりずっと、外部委託チームに頼る度合いが高くなるはずだからだ」


