右肩上がりのキャリアラダー
多くの組織では、キャリアアップは右肩上がりのように描かれることが多い。若手の野望、中堅期のピーク、そして後期の衰退だ。これがいわゆるキャリアラダーのモデルだ。はしごから落ちるまで、あるいはもっと悪いことに解雇や強制的な引退によって突き落とされるまで続く。
この時代遅れの前提はチームメンバーを人工的な枠に押し込み、「いつが最盛期か」「いつ段階的にキャリアを終わらせるべきか」を決めつけてる。
キャリアラダーがもたらす負の影響
この考え方はチームメンバーにどのような悪影響を与えるのか。
・若い人は能力ではなく社歴を理由にリーダー職から締め出され、リーダー職は中高年が担うものだという幻想が強化される
・中年の従業員は「新進気鋭」というには最盛期を過ぎており、かといって上級職に就くには若すぎるとして昇進やキャリアの機会を逃す
・50歳を超えた人は時間が限られている、思考力が衰えている、引退が近いという思い込みから、組織は投資対象として見なさなくなり、年配の労働者は強制的な停滞に直面する
このキャリアのタイムラインの偏見は組織と個人にとって有害だ。発想力を阻害し、リーダー育成を弱体化させる。そして、定められた脚本に縛られていると感じる人々の間で失望が生まれる。
作家で長寿研究の専門家でもあるアヴィヴァ・ウィッテンバーグ=コックスは、キャリア制度には「仕事を開始し、65歳まで働き、そしてある日突然引退するという古い三段階モデルが刷り込まれている」と説明している。
こうした考え方はもはや時代遅れだ。
別の形のキャリアパスを描く
組織は人材が一律の軌道をたどるわけではないことを認識する必要がある。適応に失敗すれば、時代遅れのキャリア(あるいは人生)観に合わない有能な人材が流出する。
経済協力開発機構(OECD)の2023年の研究「Retaining Talent at All Ages: Adapting Career Paths and Internal Mobility」では、従来型のキャリアパスがキャリアの流動性を制限すべきでないと強調されている。社内異動や横断的な異動、再参入プログラムがキャリアの長期性に不可欠であることが示された。
残念ながら、この発想は多くの組織で十分に活用されていない。OECDはレポートで次のように述べている。
「答えは必ずしも上への昇進とは限らない。組織内の別の部門への横の移動が有効な場合もある。これにより従業員はキャリアを広げ、深めることができ、組織は優秀な人材を維持できる。従業員は自分のキャリアが前進していると感じるため、長く会社にとどまる」
教訓は明確だ。キャリアは組み立てラインではなく、才能には有効期限もない。
キャリアラダーという概念から脱却するときだ。


